40代社会人大学院生、博士を目指す。

岡山を拠点とする年齢的にも経済的にも余裕のない社会人が、少しでも研究実績を積み上げようとあがいています。

「この先10年を研究者として生きるには、今が正念場」と言われて

「なだ君がこの先10年を研究者として生きるには、今が正念場」

先日、人づてに聞いた言葉です。

言葉を発したのはNさん。Nさんは大学などの研究機関に属していませんが、論文の質も数も十分(ただし正当には評価されていないような)という方です。

(以前、Nさんのことを話題にしたエントリはこちら)

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さて、私が自分の代表的な研究成果を挙げるなら、マイナーテーマながら概説書などでも主要先行研究として取り上げられている論文になります。ただし、この論文は10年前の発表です。

この10年間を振り返れば、興味関心がさまざまな方向に向き、それぞれの方向で論文を書いてきました。大学以来の研究テーマが壁にぶつかり、その壁を避ける道を探していたような気もしますが、結局、どれも体系立った研究にできませんでした。

科研費申請の業績欄を埋めるたび、この10年間にまともな研究成果を出せていないことを痛感します。

 

1年ほど前、しばらく関わる研究テーマを二つに絞り、最近、二つから一つにする覚悟を決めたところです。この研究でなんとか大きな果実を得たいと思っていますが、そのことをNさんも含めて広くは伝えていません。

 

こうした状況でのNさんの冒頭の言葉です。私がしばらく成果を出せていないことや、現状を打破するためにあがいていることがNさんには見えているのでしょう。勝負時は今、ということまで。

遠くから応援してくれていると解釈します。正念場を乗り切ります。

2017年に達成すること

元日なので、今週のお題「2017年にやりたいこと」に絡めて、2017年に達成することを。

 

1 新規論文1本投稿

今、準備している論文を仕上げて、この分野ではレベルが高いとされる雑誌に投稿します。

自分の中では「本命研究テーマ」なので、今後の研究はこの論文のデキにかかっています。この正月の間にデータ収集と分析の目処を立てておいて、年度末に向けての業務繁忙期を乗り切った後、本格的な執筆モードに入り、ゴールデンウィークには完成させる予定です。

 

研究面に限れば、2016年の成果は、論文0本(発表ベース)、口頭発表2本、リポート1本とふがいない1年だったので、2017年は踊り場から階段へ足を移さないと。

 

2 リジェクトされた論文の公表

先日、自信を持って投稿した論文があっさりとリジェクトされました。

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これまで関わりのなかった理系の学会に所属して投稿しました。先の広がりも見えていておもしろい研究テーマなのは間違いないのですが、現状で査読を通らないので、しばらくはこの研究を封印することにしました。

ただ、リジェクトされた論文については、修正のうえ早いうちにどこかで公表します。将来への布石にでもなれば。

 

3 大学院受験準備

今年中に最低限の学費はなんとか貯まりそうなので、来年度の入学を目指してどこかの大学院を受験します。

まだ受験先は決まっていません。仕事をしながらでも岡山から通える大学院を探し(ここが一番難しそう)、受験先に合わせて準備をします。

 

4 筋肉量を増やす

年々ひどくなっている肩こりの原因が筋力低下だと指摘されたため、昨秋からジムに通っています。ジムで筋肉量を測定してもらうと、肩だけではなく、足も著しく低下していることが判明。肩も足も筋肉量を増やします。

 

 

どれも一朝一夕には達成できないので、山を登るように少しづつ歩を進めていきたいと思います。 

2016年 お気に入りの本 3冊

昨日の記事で言及した展覧会に引き続き、2016年に読んだお気に入りの本3冊を紹介します。一般書に限ってですが。

 

『これからのエリック・ホッファーのために』(荒木優太著)

まず、私のような会社勤めの傍ら細々と研究を続ける人間に「在野研究者」という呼び名を与えてくれたことに感謝します。

本書では16人の個性的な在野研究者の「生き方」が紹介されており、今の在野研究者への応援歌とも言える本です。日々の生活との狭間で何度も研究を辞めようと思ってしまいますが、その際にはこの本を開くことにしています。

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『その日暮らしの人類学』(小川さやか著)

「Living for Today―その日その日を生きる―」をキーワードに、経済、社会の状況をしくみを問い直します。現代に存在する(そして影響力を持ちつつある)「主流派」とは異なる経済システムは、他地域だけではなく、過去の社会を考えるうえでも示唆に富みます。具体的な事例が多く読みやすい部類の新書です。

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『星々たち』(桜木紫乃著)

今年文庫化された『星々たち』。北海道の、どちらかといえば暗い風景がリアリティを持って描かれ、それがバックグラウンドとなって各編の登場人物を際立たせます。どうしようもない救われなさの深みにはまり込み、その先に何があるのかと読み進めていくと……。

直木賞受賞作品『ホテルローヤル』を読んで著者の描写に惹かれたのですが、それはもちろん健在。言葉の用い方に感嘆することしきりで、著者の紡ぐ文章をいつまでも読んでいたいのです。左手に持つ残りのページが少なくなってくると読むのが惜しくなってきます。

 

2016年 満足度の高かった展覧会 ベスト3

趣味と言えるほどではありませんが、博物館や美術館での展覧会を楽しみにしています。2016年は比較的いい展覧会に出合えた1年でした。

今年のまとめとして満足度の高かった展覧会を紹介します。中国・四国・近畿地方の展覧会に足を運ぶことが多いので、どうしてもそのあたり中心のセレクトになってしまいますが。

 

1位 「大原治雄写真展」@高知県立美術館

高知出身で移民としてブラジルに渡り、写真を撮影していた大原治雄。そのモノクロ写真は、光が本当に美しく、1枚1枚が物語を紡いでいるように見えました。かなりの点数が展示されたいたのですが、ブラジルにまだあるという他の写真も機会があればぜひ観たいです。

実はこの展覧会を観て以来、Flickrには主にモノクロ写真をアップするようになってしまいました。それくらい影響を受けたのです。

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2位 「アートと考古学」@京都文化博物館

考古学とアートという異世界の2者をうまくつなげた展覧会でした。遺跡から出土する1,000年前の土器や瓦は現代のアーティストにどう映っているのか、視点が変われば物の意味も変わるという例がいくつも示されていたと思います。

私は、この展覧会の成功は京都という場にあると見ています。地理的にまとまり、大学が密集、アーティストも多い、という特性が京都にあるためです。こうした試みが、将来、さらに展開していくことを楽しみにしています。

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3位 「氷河時代」@大阪市立自然史博物館

ブログの記事にはしませんでしたが、積み重ねられた研究と、大阪という属性が十分に反映された展覧会でした。解説書(「図録」ではありません)はちょっとした概説書で読み応えがあります。

同日に国立民族学博物館で「見世物大博覧会」を観たのですが、両者を観た結果、「氷河時代」に軍配を上げます(大阪に行くまでの本命は「見世物大博覧会」でした)。大きく派手な展覧会よりも、地域性を重視し、館のサイズに応じた展覧会こそが、全国各地に博物館・美術館が存在することの意義だと思うからです。

 

2017年に向けて

私は展覧会のタイトルと内容を見て、その博物館・美術館に足を運びます(多くの方はそうだと思いますが)。12月、「色の博物誌」という展覧会に惹かれて目黒区美術館を訪れました。記事にも書きましたが、館に入ってすぐのエントランスに掲げられた館長メッセージに感銘を受けました。部下の日頃の取り組みについて胸を張って来館者に伝えているのです。目黒区美術館を訪れたのは初めてでしたが、このメッセージを読んで、他の展覧会もいいに違いない、と確信したので目黒区美術館は再訪したいと思います。

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同様に、いい展覧会を企画した博物館・美術館については展覧会の内容に関わらず、とりあえず足を運ぶように心がけます。おそらく一定の水準は保証されているでしょうから。

投稿論文がリジェクトされてシュトーレンをつつく夜

今日、論文がリジェクト(不採用)されたとの連絡を受けました。自信のある論文だっただけに、連絡を受けてからしばらく車の中で呆然としていました。

 

この論文の内容は、近年関心のあるテーマですが、大学以来の専門分野とは異なります。私の中では、テーマB(◯対抗)としている研究テーマです。

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知人のアドバイスも受けながらこのテーマに該当しそうな学会を探し、投稿先を定めました。論文投稿時の状況は以下のとおりです。

・投稿する学会誌を決めてから、安くない入会金と年会費を納入して入会。

・この学会に知り合いは1人のみ。

・投稿の際に必要な所属名(必要なのか疑問ですが)は、自分の所属する会社名。

アウェイ感十分ですが、岡山大学図書館にこもって過去の学会誌掲載の論文を読みあさり、傾向を抑えたつもりで論文を書きました。

 

しかし、門前払いでした。

 

リジェクトの理由として挙げられたのは次の3点です。

1 示された事実からこの結論を導くことは難しい。

2 根拠となるべき表がない。

3 AとBの関係が明示されていない。

 

1については、論証不足や論の飛躍と言われれば、そうかもしれません。もう少し材料を準備して周到に論を展開するべきでした。

表(2)があれば理解を助けることは分かっていたのですが、紙幅の関係で表は落としました。ただ、表に示されるような各項目については、本文中でそれぞれ詳しく触れているつもりです。これで根拠がないとまで言われるとつらいです。

3については、指摘された箇所よりも前の章でA・B間の関係を示しています。指摘箇所で書いていないのは丁寧さに欠けるのかもしれませんが、明示されていないことはないはずです。

 

投稿論文がリジェクトされたのは初めてではありませんが、今回のリジェクト理由には3割ほど納得がいきません。分野や学会ごとの「作法」の違いもあるのでしょうか。

 

さすがに落ち込んだので、売れ残りのシュトーレンを買ってきてフォークでつついて慰めています……。

科研費(奨励研究)の申請は持参するべき。可能なら。

科研費は研究機関に所属する「研究者」を対象とする助成ですが、それ以外の人でも応募できる「奨励研究」という種目があります。

教育・研究機関の教職員等であって、他の科学研究費助成事業の応募資格を持たない者が一人で行う教育的・社会的意義を有する研究

奨励研究 | 科学研究費助成事業|日本学術振興会

 

私のような在野の(自称)研究者でも助成を得ることが可能な制度です。限度額が100万円と、一般的な科研費に比べるとごくごくわずかですが、仕事の合間に行う研究に100万円以上の金額を研究に使うことはかなり困難です。時間的に。

私はほぼ毎年のペースで応募していますが、採択されたのは10年ほど前に一度だけ。1年前の申請(研究計画書)はかなり自信があったのですが、あえなく不採択。

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例年の締め切りが12月上旬なので、今年こそは、と意気込んで11月下旬から研究計画書の作成に取りかかりました。その際、参考にしたのは次のスライド。日本学術振興会特別研究員の申請用ですが、科研費の申請にも役立ちます。

www.slideshare.net

 

本来は締め切り前に研究計画書を仕上げて郵送する予定だったのですが、最後の詰めがなかなかできず焦っていたところ、締め切り最終日は東京で仕事だったことを思い出しました。科研費を扱っている日本学術振興会は麹町にあり、申請は持参も可能なのです。

というわけで、締め切り前日の夜、秋葉原での仕事を終えてからホテルで計画書を書き、データをネットプリントに転送しました。雨の中、傘も持たずにホテルを出てコートを濡らしながらたどり着いたコンビニで計画書をプリントアウトし、その場で購入した封筒に入れてなんとか準備できました。

 

快晴の翌朝、四ツ谷で降りて青空の下をうつむき加減に歩を進める上智大の学生に紛れて日本学術振興会の入っているビルに向かいます。最上階近くの受付会場入口には、昨年のノーベル賞を紹介するパネルが誇らしげに掲げられていました。

受付会場に入り計画書を手渡すと、椅子にかけて少しお待ちください、とのこと。なんとその場で書類に不備がないかチェックしてくれたのです。郵送ではもちろんチェックはしてくれません。

幸い、不備はありませんでしたが、持参できるなら持参したほうがいいのは間違いありません。書類不備による不採択を避けられるのですから。

 

しかし、私のように地方在住だと毎年持参するわけにはいきません。麹町まで来たこの日、無事申請できたのですが、東京と、東京から離れた地方との研究格差(わずかですが)を感じてモヤモヤしたのは事実です……。

 

秋冬限定、宝石のような甘納豆 - 村瀬食品(香川県高松市)

広くなったり狭くなったりする山道を車でたどって着いた目的地は、周りの風景に溶け込んで、目立つとは言い難い建物。控えめに立つ「甘納豆」の看板が目印です。

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香川県高松市の山間部にある村瀬食品は、甘納豆を生産・販売する、知る人ぞ知る店。この甘納豆は、秋口からゴールデンウィークまでの季節限定生産です。

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店内では袋詰めされた甘納豆が販売されています。1袋、300g強(種類によって若干増減します)で300円とかなりお得な価格設定。

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村瀬食品の甘納豆は、外側の薄皮1枚が柔らかく、そこから内は程よい歯ごたえが残っています。そして最大の特徴は豆の強い香り。素材である豆の味が十分に活かされた甘納豆なのです。私がもっとも好きな黒豆は、実は隠れた香川の特産品。

4種の豆はやや透き通った色が宝石のようです。こちらをホットケーキやパウンドケーキに入れて焼くと見た目も鮮やかな和風スイーツに仕上がります。

厚みのある芋納豆も食べ応えがあって人気。

 

賞味期限が約2週間と短いのは保存料を使用していないからとのこと。

どなたに手渡しても、後で必ず「おいしかった」と言ってもらえるので、行くと何袋も甘納豆を購入してしまいます。

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2016年の営業は12月29日まで、2017年の営業は1月7日からだそうです。

 

村瀬食品

香川県高松市香川町東谷865-2 

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