40代社会人大学院生、博士を目指す。

岡山を拠点とする年齢的にも経済的にも余裕のない社会人が、少しでも研究実績を積み上げようとあがいています。

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メモがあるからこその資料的価値-「よみがえる沖縄1935」@立命館大学国際平和ミュージアム

4/13から始まったKYOTOGRAPHIE。毎年GW前後の時期に京都市内各所で写真を展示するイベントで、タイミングがあえば見に行くようにしている。お金かかってるなー、と感じるだけあって会場での見せ方や設営のセンスがいい。 今年、とりあえず「よみがえる沖縄19…

2018年 満足度の高かった展覧会

2018年も終わりに近づいているので、昨年に引き続き、1年間に訪れた展覧会のうち、よかったものを振り返ってみる。ただ、今年は例年に比べて展覧会を観ていないうえ、印象に残るものも少なかったのでふたつのみ。 「石内 都 肌理と写真」@横浜美術館 ひとつ…

傷んだ財布を撮影したい衝動に駆られた。「石内 都 肌理と写真」@横浜美術館

5年前に財布を買って以来のみなとみらい みなとみらいの駅で降りたのは、ほぼ5年ぶりだろうか。 当時、仕事で横浜を頻繁に訪れていたにもかかわらず、中華街にも山下公園にも行ったことがないという私を友人が案内してくれた。よく晴れた秋の週末で、駅も山…

2017年 満足度の高かった展覧会 ベスト3

2017年最後の日なので、今年訪れた展覧会のうち個人的なベスト3を。 私は岡山在住ということもあり、中四国、近畿の展覧会を観る機会が多いので、どうしてもその中から選ぶことになってしまうが。 「志賀理江子 ブラインドデート」@丸亀市猪熊弦一郎現代美術…

尾道と百島で強烈なメッセージを受け取る。「CROSS ROAD 2」@アートベース百島ほか

先日、昼前に岡山を出て友人と尾道(広島県)へ向かった。現在開催中の「CROSS ROAD 2」を観るのが目的だ。 岡山から尾道までの所要時間は1時間と少し。車さえあれば気軽に行ける距離である。 駅近くの駐車場に車を停めて、港近くにある西御所県営上屋3号倉…

京都帝国大学の自負とプライド「火焔型土器と西の縄文」@京都大学総合博物館

この秋、京都の展覧会は「国宝」展(京都国立博物館)の話題でもちきりだが、京都大学総合博物館でもひっそりと国宝が展示されている。その国宝とは、縄文土器。特に造詣が美しい火焔型土器と呼ばれる土器である。 www.museum.kyoto-u.ac.jp 昨年、国学院大…

強烈な刺激を受けるインスタレーション「志賀理江子 ブラインドデート」@丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

梅雨はまだ明けず、しかし予報と違って晴れ間が少しのぞいていた朝、思い立って展覧会を観に行くことにした。 香川にある丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)で開催中の「志賀理江子 ブラインドデート」である。 駅ほぼ直結、谷口吉生設計の美術館 岡山か…

特別展「茶の湯」で茶器を堪能し、考古展示室で人物埴輪に圧倒される@東京国立博物館

まださほど暑くなっていなかった5月、特別展「茶の湯」を目的に訪れた上野の東京国立博物館。この日は別の用件が入ってしまい、博物館に着いたのは閉館まで2時間強という時間だった。 特別展会場は敷地奥の平成館。ここに入るのは初めてのような気もする。展…

土佐弁による音声ガイドを楽しむ。@高知県立高知城歴史博物館

2017年3月4日にオープンした高知県立高知城歴史博物館。オープンからほぼ1週間後に訪れることができた。近県では久しぶりの新規博物館なので、しばらく前からこの日を楽しみにしていた。 高知城を一望できる博物館 その名のとおり、博物館は高知城のすぐそば…

晴れた日の新美術館でスラヴ叙事詩を鑑賞 「ミュシャ展」@国立新美術館

前日、下北沢での仕事を終えてそのまま東京に宿泊。朝の打ち合わせを終えて、午後からのプレゼンまで少し時間があったので、国立新美術館に行くことにした。 目的はスタートして間もない「ミュシャ展」。プラハにあるスラヴ叙事詩が日本に来るとのことで、昨…

古代にはどうやって朱を得ていたのか。「古代の彩り」@徳島県立博物館

2016年末のエントリで次のように書いてしまったので、今年は地方の小さな展覧会の感想もなるべくアップしていきたいと思います。 大きく派手な展覧会よりも、地域性を重視し、館のサイズに応じた展覧会こそが、全国各地に博物館・美術館が存在することの意義…

2016年 満足度の高かった展覧会 ベスト3

趣味と言えるほどではありませんが、博物館や美術館での展覧会を楽しみにしています。2016年は比較的いい展覧会に出合えた1年でした。 今年のまとめとして満足度の高かった展覧会を紹介します。中国・四国・近畿地方の展覧会に足を運ぶことが多いので、どう…

多彩な色材は一見の価値あり。「色の博物誌」@目黒区美術館

TwitterのTLにたびたび流れてくる感想に押されて「色の博物誌」を観てきました。 山手線の電車を目黒駅で降りて、坂道を下っていくと見えてくる目黒川。この川を渡るのは何年ぶりだろう、などと少し昔を思い出しながら川沿いをしばらく歩いて目黒区美術館に…

研究成果を広く伝えるためにはコミュニティ間の関わりが重要では

先日、京都で開催中の「アートと考古学」展を観覧し、エントリをアップしました。刺激的な内容で楽しめる展覧会です。 この 「アートと考古学」展について、昨日の日経新聞のサイトで取り上げられていました。以下、一部引用します。 www.nikkei.com 「日本…

物に対する認識はどう変化するのか。「アートと考古学」@京都文化博物館

「物の声を、土の声を聴け」のコピーに惹かれて、京都文化博物館で「アートと考古学」展を観てきました。ポスターのフォントがいいですね。 土の中から出土する土器や石器を対象とする考古学、それをアートという切り口でみせる展覧会です。アートというより…

60年代欧米雑貨をじっくり眺めたい「’60年代JETRO収集海外優秀商品」@瀬戸内海歴史民俗資料館

先日、高松(香川)で観た「心を豊かにするデザイン」はおもしろい展覧会でした。特に、1960年代に日本のプロダクトデザイン向上のために収集されたコレクションには強く興味を惹かれました。 knada.hatenablog.com そのコレクションの展覧会が別の資料館で…

マリメッコ、アラビアマニアも必見「心を豊かにするデザイン―讃岐民具連とその時代―」@高松市歴史資料館【瀬戸内国際芸術祭2016】

高松(香川県)でおもしろい展覧会を観てきました。「心を豊かにするデザイン―讃岐民具連とその時代―」です。 1950〜60年代の香川で、洗練されたデザインを用いてさまざまなものを世に出していた活動を紹介しています。香川県庁舎を設計した丹下健三や、高松…

「かぐや姫の物語」も参考にしたという40年前の記録映画「奥会津の木地師」

早朝、岡山を発って高知へ。民族文化映像研究所が1976年に制作した映画「奥会津の木地師」の上映会に参加するためです。本映画は、スタジオジブリ「かぐや姫の物語」の参考にされており、ほぼ同構図のシーンが登場します。 木地師とは 木地師とは、漆椀の元…

多くの資料で物部を語る「いざなぎ流の里・物部 」@高知県立歴史民俗資料館

ぎっしり並んだ資料は、学芸員の物部への想いの表れでしょう。 「いざなぎ流の里・物部 ―神々と精霊の棲む村―」を観てきました。会場の高知県立歴史民俗資料館に着いて中に入ると、今日は観覧料無料とのこと。「歴民の日」という特別な日だったのです。 午前…

モノクロ写真が発する物語性のある光「大原治雄写真展」@高知県立美術館

モノクロ写真の光の表現に驚きました。 久しぶりの完全休日だったので、高知県立美術館で「大原治雄写真展」を観てきました。 高知出身の大原治雄は、戦前、移民としてブラジルに渡り、その後一度も日本に戻ることはなかったそうです。農場経営の傍ら、写真…

「養蚕機織図屏風」には養蚕史的価値もありそう。「高松藩・狩野派!」@高松市歴史資料館

高松市の図書館で原稿用の資料を探したついでに、高松市歴史資料館で「高松藩・狩野派!―御用絵師とその周辺―」を観てきました。高松市の歴史資料館と図書館は同じ建物の中にあります。 ちなみに、岡山から高松に出かけての片道は約55分、1,510円です。地方…