40代社会人大学院生、博士を目指す。

岡山を拠点とする年齢的にも経済的にも余裕のない社会人が、少しでも研究実績を積み上げようとあがいています。

博士論文を提出した。完成までの終盤の1年間で効果的だったこと。

2023年も終わりに近づく頃、博士論文を提出した。完成までに6年近くを費やした。

途中、特に後半は何十回もあきらめかけた。断念しかかった要因は大きく分けて二つある。一つは自分の研究能力の限界を思い知らされたこと。これだけ時間をかけてもこの程度の成果しか上げられないのか、という絶望感である。二つ目は、春秋の雲一つないような晴天の休日、それでも進むか進まないか分からない原稿のためにパソコンに向かわなければならないこと。休日ごとに部屋にこもり続けるのは病みそうだった。

それでも、ここで諦めると一生後悔するだろうと思ってなんとか形にした。

 

終盤の1年間は研究に集中できる時間を捻出するためにそれまでの生活スタイルを見直した。平日の仕事終わりのジムに行く時間帯、休日の朝の過ごし方、パソコンに向かう場所などである。

これらの見直しのうち、振り返って一番効果があったのは、SNSを断つことだった。

誰かの投稿に感情や時間を持っていかれるのが、自分にとっては一番の障害だったのである。この間、自分の社会への関心が薄れているのは間違いなく、社会と切り離された研究でいいのかという疑問もある。これからのSNSとの付き合い方はどうするべきだろうか?

 

博論を完成させるとどれほどの達成感を得られるのかと期待もしていたが、達成感は欠片ほども無い。やり残したことが多すぎるのである。

博士号はスタートライン、と言われるのはこうした所以なのかもしれない。

 

2022年に達成すること+2021年の振り返り

年に1〜2回の更新になっているが、今年も目標と振り返りを。

2021年の年頭目標は達成できたのか

knada.hatenablog.com

 

1. 博士論文完成の目処をつける

大幅に遅れているが、一応、最終形は見えつつある状態。現在、博士論文の進捗状況は60%。

 

2. 1月に論文投稿

完成時期が大幅に遅れた。博論4章を構成するこの論文を修正して、2022年1月初旬に再投稿する予定。

 

3. 3月に論文投稿

完成させられなかった。博論5章を構成するこの論文は2022年2月に完成予定。

 

4. 夏に論文投稿

完成させられなかった。

 

5. 平日の研究時間の確保

平日の研究時間を1.5時間確保する予定だったが、上半期は1時間程度だった。

 

2022年の目標

1. 博論5章を2月に完成させる

現在執筆中。1月に粗原稿を完成させたい。

 

2. 博論6章を6月に完成させる

序盤の作業に着手している状態。この6章分をどれだけ早くかけるかが博論の勝負とみている。

 

3. 博論7章を9月に完成させる

まとめ的な内容なので、ここで苦しむことになるだろうが、なんとか書き上げたい。

 

4. 博士論文提出

7章まで書ければ、残りの諸々を整えて2022年中に博論を提出したい。ただし、相当厳しいスケジュール。

 

論文がリジェクトされたダメージは失恋と同じくらいか

届いた封筒を開けたら提出した原稿がそのまま入っていて、その上にはA4の書類が1枚。

「投稿された論文は受理できません」

以前投稿した論文は受理されなかったらしい。査読すらされなかったのもつらいが、その理由が分からないことがなおつらい。修正の方向性も分からず、今後に活かすこともできない。

この論文は指導教員の先生や同じ専門分野の人に意見をもらい、軌道修正したうえで投稿した。いわばお墨付きをもらっていた訳で、査読で厳しい意見をもらうことは覚悟していても、受理されない事態はカケラも想像していなかった。

そういう訳で、仕事終わりに封筒を開けてからずっと、胸の奥をえぐられるような、何をしても気分が晴れない状態が続いている。

この感情はなんだろう?似たような感覚を味わったことがあるような......。

失恋したときだ、はたと気づいた。うまくいっていると思っていたのに、突然相手から一方的に遮断されたときの、あの感覚。

これに気づいた一瞬だけ気分は高揚したが、それだけだった。眠れないので布団の中でこの記事を書いている。

 

 

2021年に達成すること+2020年の振り返り

364日ぶりのブログ。後で見返すためにも、昨年の確認と年頭の目標は記録しておきたい。

2020年の年頭目標はどうなったか

knada.hatenablog.com

1. 5月に論文投稿

投稿した。ただし、できたのは9月。新型コロナウイルスの影響で予定していた4月に資料調査に行けなかったのが響いた。

査読結果はまだ。3か月以上経っているのに......。

 

2. 下半期に論文投稿

12月中に投稿できなかった。現在執筆中なので1月中旬には投稿したい。

 

3. 新しい生活での研究サイクル確立

転居もして転職もするとさすがに生活環境が一変する。それに新型コロナウイルス流行による緊急事態宣言も重なり、訳が分からないままま夏にいたった感じ。

9月あたりからは仕事にも慣れてきて、研究時間の確保に務めることができるようになってきた。

 

2021年の目標

1. 博士論文完成の目処をつける

現在、博士論文の進捗状況は40%。7章構成のうち、メインとなる2章、3章を書き終えた。下記の目標の各論文を書き上げることができれば博論の進捗状況は80%程度となり、2022年での完成が見えてくる。

 

2. 1月に論文投稿

現在執筆中。博論4章を構成する予定。

 

3. 3月に論文投稿

資料調査を済ませてあるので、分析をどこまで効率よくできるかが勝負。博論5章を構成する予定。

 

4. 夏に論文投稿

資料を集める必要はあるが、遠方への調査は必要ないので分析に時間を捻出できればなんとかなる。博論6章を構成する予定。

 

5. 平日の研究時間の確保

今年は博論完成に向けてブーストをかける年。平日は仕事が終わってから毎日最低1.5時間は研究時間に割きたい。

 

社会人大学院生が、どうやってモチベーションを維持し、研究時間を捻出しているのか。

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昨日、twitterのタイムラインで流れてきたこの記事。

社会人大学院生のたでぬーさんが、毎日の仕事に追われるなかで、いかにして研究時間をひねり出しているのか。

note.mu

 

私は大学院の博士課程に通い始めてすでに1年半が経過した。博士論文を書き上げるためには膨大な研究時間を求められる。ただ、生きていくための生活費も別居中の子どもの養育費も必要なので、普段は仕事(研究とは関係のない)をしている。

現在の生活での最大の課題は、一日のなかで少しでも研究時間を確保することができるか、である。そして時間を研究に充てるのに必要なのはモチベーションだろう。

そこで、たでぬーさんの上記の記事に触発されて、現在の私がどうやって研究時間を捻出しているか、モチベーションを維持しているか、を書き留めておきたい。この1年半試行錯誤してたどり着いた現況でもある。

 

1 家から外に出る

自宅(部屋)に居ると、どうしても気が散ってしまう。「家にいる間に洗濯したほうが」「晴れたので窓開けて掃除ができるかも」「おかずをつくり置きすると節約になるかな」といった「家でしかできない用事」に意識が引っ張られるのである。特段、家事好きでも清潔好きでもない私ですら、自宅にいるとこうした状況に落ちいることになる。

 

そこで、外に出る。私がよく行くのは、近くのタリーズか某国立大学の図書館。

タリーズに限らず、チェーン店のカフェは本やパソコンを広げていても許してくれる雰囲気がある。その都度、数百円とはいえ、お金を払っているので時間を無駄にしたくないという意識が強く働く。そしてなにより、おいしいコーヒーを飲みながら研究できる。

国立大学の図書館は、必要であれば誰でも利用できる(はず)。大学の図書館は周囲に勉強している学生がいるので、やらざるを得ない気持ちになる。

 

2 朝活に惑わされない

以下は私の平日のスケジュール(理想的な)である。

7:30-19:30 通勤+仕事

19:30-22:00 研究(1時間強程度)+夕食+買い物+帰路

22:00-24:00 翌日準備+ネット+ゲーム+読書

 

19:30-22:00の時間帯は、会社の帰りにタリーズに寄って研究することもあれば、一度帰宅して夕食を食べてから大学図書館に向かうこともある。いずれにしても平日の研究時間は夜である。

以前、出勤前にマクドナルド(早朝にも開いているので)で研究していたこともある。しかし、1年ほど前にうつ病を発症してからは睡眠薬を飲まないと眠れない日も多く、朝早く起きるのが難しくなってしまった。

博士論文を書いた人たちからは、朝にまとまった執筆時間を取ったという話をよく聞く。先達の意見を耳にするたびに不安にはなるが、今は割り切って朝活に固執することを辞めた。体調優先。

 

ただ、たでぬーさんの記事を読んで、休日の朝(早朝ではない)を研究に充てるのはいいな、と思って今はタリーズにいる。ブログを書いているのだが……。

 

3 とりあえず書く

論文の完成にたどり着くには、結局のところ、毎日少しづつ書くのが近道である。と、40歳を過ぎてから悟った。

なので、研究時間をまるまる資料調査やデータ収集・分析に充てる日以外は、とりあえず書く。パソコンを開いて100文字でもいいから打ち込む。

毎日、少しでも文字数が増えていると論文の完成に近づいている気になり、モチベーションの維持にもつながる。

 

4 たまに大学に行く

私は自分や院生の発表の日だけは大学に行かないといけない。逆に言えば、それ以外の日は大学にいる必要はない。

しかし、必要性はなくても大学に行く日を無理につくっている。自宅(岡山)から大学(京都)にまで通うのは、往復4時間と新幹線代が必要なので負担は大きいが、それでも。

大学に行けば先生や院生に会うことができる。先生や院生と話をすることで得られる着想やモチベーションは、日常、研究環境に身を置かない私にとって相当に貴重なのである。

 

 

久しぶりにブログを書いたので、研究の現況も少し。

現在は博士論文8章のうち、2章分の論文2本を仕上げて投稿した。うち1本は近いうちに掲載されるはず。

今のペースだと半年に1章分の論文を書くのがやっとなので、博士論文の完成までにはあと3年以上かかることになる。今は2年目だが、博士課程には3年しかいられない。単位を落として留年する方法もあるが、その場合は学費が必要なので、とりあえず来年は休学して論文を書くことにした。

 

 

広く研究への門戸が開かれているのが、奨励研究ではなかったのか。

平成31年科研費(奨励研究)の変更点

科研費の公募が始まっている。

私は研究機関に所属していない(研究者ではない)ので、これまで応募できたのは、奨励研究のみである。しかし、今回の公募の変更点をみると、もしかすると私は対象ではないような気もしてきた。

以下、奨励研究の主な変更点を引用する。(強調は筆者)

<平成31年度における主な変更点等>

(1)教育現場等での実務に基づく、教育的・社会的意義を有する研究を助成し、奨励する本種目の目的や趣旨に即した応募を促進するため、平成31年度公募から応募資格について、「教育・研究機関や企業等に所属する者」を対象としました。そのため、応募時点において、所属組織の長等が証明した「在籍確認書類」の提出が必要となります。

(2)奨励研究の補助事業期間終了後に、「研究成果報告書」の提出を新たに義務付けることとしました。
(3)応募用ID・パスワード取得申請の期限を設定しました。
  ※応募用ID・パスワード取得申請期限:平成30年10月31日(水)午後4時30分(厳守)

奨励研究に応募するには、応募用ID・パスワードを取得申請する必要があります。ついては、応募用ID・パスワードの取得申請期限までに、奨励研究応募用の科研費電子申請システムに取得申請を行ってください。期限までに取得申請が無い場合、奨励研究に応募することができません。
(4)科研費による研究は、研究者の自覚と責任において実施するものであるため、研究の実施や研究成果の公表等については、国の要請等に基づくものではなく、その研究成果に関する見解や責任は、研究者個人に帰属されることを明記しました。
(5)研究者が遵守すべき行動規範について明記するとともに、研究代表者が、研究遂行上配慮すべき事項について内容を理解し確認する必要があることを明記しました。 

(締切は、2018年11月7日[水]16:30)

 

広く研究への門戸が開かれているのが、奨励研究ではなかったのか

これまでの奨励研究では、実質的には所属に関係なく誰でも申請できた。

私は地方の小さな会社に務めている。教育関係でも研究関係でもない。あえて言うなら、教育関係者や研究者に業務で接することがある程度だ。企業ではあるので、申請はできるとは思うが、果たして対象となるのかどうか。

 

さらに先日、仕事が原因でうつ病と診断されてしまい、現在の会社を退職するか迷っている。うまく転職できたとしても、申請時と採択時で所属が変わっていれば、仮に科研費が採択されるとどうなるのだろう。フリーランスになっていれば採択は取り消しになるだろうし。

 

そもそも「教育現場等での実務に基づく、教育的・社会的意義を有する研究を助成し、奨励する本種目の目的や趣旨に即した応募を促進するため」であれば、「教育的・社会的意義を有する研究」さえ行えればいいのであって、申請者(採択者)の所属の有無は関係ないように思う。

所属や所属の有無に関係なく、広く研究への門戸が開かれているのが、奨励研究ではなかったのか。

 

研究発表はうまくいかなかったが、それでも発表を引き受けたことにはメリットがあった。

先週の日曜日、とある研究会で研究発表をした。

4年前に書いた論文を基に分析対象を広げてさらに大きな論を展開する目論見だったが、分析に見合う資料やデータが得られず、結果的に論文の再検討に近い発表になった。

 

準備段階で改めて自分の書いたものを読むと、意外と鋭い指摘があるなと驚きながら、しかし結論部分での矛盾点が見えてきた。書いたときにはそれなりに自信のあった論文だが、自分が思っているほどは引用されていない原因はここにあったようだ。この点に気づいたことは、今回の発表を引き受けたメリットのひとつ。

結論部分の見直しに向けて、資料の再検討や参考文献の読み込みを続けたものの、なかなかすっきりとはいかず。発表当日、会場のロビーで缶コーヒーを飲みながらギリギリまで結論を迷い、スライドの最後のページを作成できずにいた。

 

さて、時間になり腹を決めて発表へ。最後のまとめは現時点で実証的とは言い難いが、あえて大きなイメージを提示することにした。

終えた後の質疑では若い知人研究者2名から厳しい意見をもらった。こんな状態で出した結論部分に関することはもちろんだが、途中の論の展開についても参考になる意見だった。決してうまくいったとは言えない発表だったが、今後の研究に向けた意見をもらえたのは、ふたつ目のメリット。

 

9月以降予想以上に仕事が忙しく、平日に遅く帰宅してからしか発表準備に手を付けられず、こんな時になぜ研究発表を引き受けたのだろうか、と自分の判断を恨みもしたが、それでも発表したことには意味があった。発表直前の追い込まれた数日間、数時間での思考は、自分の頭の中の何かを少し前に進めた気がする。今回の発表3点目のメリットだろう。

 

発表でも締切のある論文でも、誰かに期限が設けられたほうが、怠けがちな自分の性格には合っている。投稿の締切がないため1年近く抱えて完成をみない原稿がPCのデスクトップに見えているのだが……。