独り身の40代、大学院進学と博士を目指す。

岡山を拠点とする年齢的にも経済的にも余裕のない社会人が、少しでも研究実績を積み上げようとあがいています。

クルクル回るバキュラに学ぶ

ほぼ40歳以上じゃないと何のことか分からないタイトルですが。このエントリのきっかけは、昨晩から一定世代を中心に話題になっているこの記事です。

news.denfaminicogamer.jp

 

 「バキュラ」とはゲームセンターに設置してあったアーケードゲームゼビウス」に登場する敵キャラクターです。板状のスタイルで空中をクルクル回りながら直進する性質を持っています。

この「クルクル回る」表現が当時(1983年)としては衝撃だったのです。私は小学生でゲームセンターに入り浸るような年齢ではありませんでしたが、当時は喫茶店(カフェではありません)や飲食店(お好み焼き屋など)でアーケードゲームをテーブル兼用としていたところも多かったので、そういった場所でアーケードゲームに多少は触れていました。その少ない経験でも、ゼビウスの立体感のあるキャラクターは印象的だったのを覚えています。

 

記事の中では、開発者の遠藤雅伸氏がバキュラの立体感溢れる表現方法について述べています。

 アニメーションのコマ割りをかなり多くしたので、当時のゲームとしては動きも優雅だったと思います。バキュラのミソは、一番明るいところの周囲の灰色をちょっと他の灰色と差をつけておいたことなんです。今風に言うとスペキュラーですよ。そうすると、明るいところが際立つんですね。 その辺は、「さすが僕だわ」と思いますね(笑)。当時、誰も追従できないレベルだったはずですよ。
 理由は簡単で、僕は美術の発想でアプローチしなかったんです。あくまでも理系の、工学屋さんの発想でアプローチしたんです。物理学の理屈で考えると、こういう光のあたり方になると計算して、テストプレイで見え方を検証しながら作ったんですね。
 まあ、もちろんゼビウスの場合は、カラーパレットが3色から8色に増えたタイミングだったんですけどね。ただ、これは我ながらパラダイムシフトだったと思ってるのですが、僕は多色化をグラデーションに使う方向に振ったんです。他のクリエイターが多くの色を使う方向で考えていた中で僕はむしろ色素を飛ばして立体的に見せるほうに力を注いだんです。 
 当時、古車屋の看板で最初からパースが付いたデザインなのに、グルグル回してるのがあって、それを取り入れたんです。実は、あの「バキュラ」って、形状としては長方形が8コマ回しで台形に変化するのを繰り返してるだけなんです。でも、そこに輝度変化を加えると、一気に奥行きが表現できてしまうんですね。
 ちなみに、色数を犠牲にして、グラデーションで輝度変化させる演出に振り向けたお陰で、メタリックで無機質な印象が生まれたのは面白かったです。 

 

3色から8色に増えたカラーパレットを他のクリエイターとは異なる方向で使用したという点には、新しい世界を切り開く鋭さを感じずにはいられません。それによってバキュラの衝撃が生まれたのですから。

ゲーム制作に限らず、私たちはあらゆる場面で制約を受けながら選択・行動を繰り返しています。新たな技術や知識を得てその制約を一部外すことができるようになった時、それをどう使うのか。そのセンスにはそれまでに何をどれだけ蓄積してきたのかがが問われるのでしょう。

 

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