この秋、京都の展覧会は「国宝」展(京都国立博物館)の話題でもちきりだが、京都大学総合博物館でもひっそりと国宝が展示されている。その国宝とは、縄文土器。特に造詣が美しい火焔型土器と呼ばれる土器である。
昨年、国学院大学の博物館で好評を博した展覧会を関西に持ってきたらしい。西日本ではなかなかみられない火焔型土器がずらっと並ぶ。
縄文土器だけではなく、土偶やエメラルドグリーンの大珠なども。
後半は京都大学の縄文時代研究を紹介するパートになっている。一見して、細かな土器のかけらがたくさんならんでいるな、と思い、あまり期待せずにパネルを読んでいくと、意外にもこちらのほうがおもしろい展示だった。
京都帝国大学は、戦前、考古学研究を邁進する帝国大学の自負とプライドで全国の資料を集めて研究を進めていったらしい。
当時の写真や図、写植指示の版下(?)まで残っているのはさすが京大といったところか。
岡山県の遺跡を調査した際の図もあった。「粒江村」とあるから現在の倉敷市だろう。フリーハンドで描いているにも関わらず精緻。よれよれの折り目やシミ(土に由来か)からは屋外でのフィールドワークを想像させられてワクワクする。
なお、展覧会の出口のアンケートに答えるとオールカラーの図録をもらえる。写真も豊富で読み応えがあるこの図録が無料とは驚き。
図録を入手するためだけに入館料400円を払っても十分元が取れる。
火焔型土器と西の縄文
本特別展は、日本遺産認定を記念し、第1部で火焔型土器や同時代の土偶や石棒などの出土品を通して、その実態と魅力を多面的に紹介します。そして第2部では、京都大学の資料によって、火焔型土器と同時期の全国各地の土器を概観するとともに、100年の歴史をもつ考古学研究室が調査した西日本の縄文遺跡の出土品、大学構内や周辺の縄文遺跡の調査研究成果を紹介しながら、西の縄文の視点から火焔型土器について考えます。
会場:京都大学総合博物館
期間:2017年09月09日 - 10月22日