40代社会人大学院生、博士を目指す。

岡山を拠点とする年齢的にも経済的にも余裕のない社会人が、少しでも研究実績を積み上げようとあがいています。

強烈な刺激を受けるインスタレーション「志賀理江子 ブラインドデート」@丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

梅雨はまだ明けず、しかし予報と違って晴れ間が少しのぞいていた朝、思い立って展覧会を観に行くことにした。 香川にある丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)で開催中の「志賀理江子 ブラインドデート」である。 駅ほぼ直結、谷口吉生設計の美術館 岡山か…

龍安寺の新緑を浴びた後は、HOME coffee standに体を預けてコーヒーを。

「青もみじ」といったワードもよく見かけるようになったが、京都の寺社は桜が散ってから夏までの緑も美しい。暑い季節に視覚だけでも涼しむことができる。(実際はもちろん暑いが) 神戸での用件を済ませて午後からフリーになったので、阪急と嵐電(京福電気…

立命館の大学院説明会をのぞいてみた。大学側の丁寧な対応に隔世の感が……

私は来年度からの大学院進学(博士後期課程)を考えている。この数年、進学のための学費を貯め、進学先候補を検討してきた。その1つが立命館大学大学院である。 進学候補の要素はいくつかあるが、現在の私の経済状況では学費の占める割合が大きい。その点で…

しっかりとした味付けと食感重視の硬派なモーニング@高木珈琲(京都市 四条烏丸)

京都・四条烏丸で宿泊した翌朝、散歩しながら見つけたのは喫茶店でモーニングを食べることにした。やや古ぼけた青い軒先テントには「高木珈琲店」とある。 店内は想像どおりクラシカルな雰囲気。男性2人が切り盛りをしている。ちなみに、期待を裏切らず喫煙…

中華粥と具がぎっしりの点心を、新橋でリーズナブルに@花茶坊

仕事で梅雨入りした東京に向かった先日のこと。午後からの打ち合わせを終えて、仕事仲間のAさんから夕食に「中華粥とかどう?」と誘われて二つ返事で了承した。中華粥なんてなかなか食べる機会がないため、そのワードを聞いただけでテンションが上がってしま…

特別展「茶の湯」で茶器を堪能し、考古展示室で人物埴輪に圧倒される@東京国立博物館

まださほど暑くなっていなかった5月、特別展「茶の湯」を目的に訪れた上野の東京国立博物館。この日は別の用件が入ってしまい、博物館に着いたのは閉館まで2時間強という時間だった。 特別展会場は敷地奥の平成館。ここに入るのは初めてのような気もする。展…

科研費(奨励研究)にはもう手が届く気がしない

今年(2017年)も採択されなかった科研費(奨励研究)の審査結果が届いた。そろそろ届く頃だろうとは思っていたが、審査結果を見ても結果が変わる訳でもないのでさほど気にも留めていなかった。 knada.hatenablog.com 郵便受から縦長のハガキを取り出し、三…

下北沢はやっぱりカレーの街だった@路地裏カリィ侍.

下北沢で打ち合わせがあったその日の夕食はカレーと決めていた。先日、下北沢のポニピリカで食べたスープカレーに心(舌?)を打たれて、それ以来、私の中では下北沢=カレーの街になってしまったのである。 knada.hatenablog.com ポニピリカで食べたカレー…

なんとか拾われた論文が新聞記者の目に留まった話

昨年末(2016年12月)、投稿論文があっさりリジェクトされた。その時の落ち込みようは半端なかった。年末年始を挟んで冷静になり、論文をリライトして別の雑誌に投稿したのが2月。 knada.hatenablog.com knada.hatenablog.com その論文を掲載した雑誌が4月中…

7世紀の永納山城を歩き、『夕凪の街 桜の国』を読み、くらしとごはんリクルで肉厚愛媛鯛のランチ@愛媛県西条市

7世紀に築かれた永納山城を歩く 愛媛に行く機会があったので、かねてから訪れたかった永納山城を歩いてきた。 7世紀、対馬から九州北部、瀬戸内海沿岸には朝鮮半島の技術を用いた山城(古代山城)が30基近く築かれた。築城目的は新羅・唐の侵攻への備えとさ…

「学芸員の人たちも観光マインドを持って」発言はどこから来ているのか?

昨晩から私のTwitterのタイムラインは学芸員批判をした地方創生相の発言で荒れている。 mainichi.jp 地方創生相の学芸員や専門家への理解が足りない、といった意見は他の方に任せるとして、なぜ「学芸員の人たちも観光マインドを持って」(リンク先の動画参…

今年も科研費不採択で落胆……

郵便受けの中に横たわる薄い封筒は見たくなかった。 封筒の中身はA4の紙1枚。科研費(奨励研究)の不採択通知である。採択されていれば申請完形の書類の束が入っているため、封筒の厚さで採否が分ってしまう。 昨年の12月、滞在中の東京のホテルで夜中に書き…

温泉宿で論文を書くと捗るのか?@ホテル松葉川温泉(高知県四万十町)

温泉宿に滞在して論文の原稿を書くと捗るのか? 1泊した結果は次のとおり。 ・思うほどは書けない (2,000字/3時間) ・意外と作業できる時間はない (5時間) ・思考に集中することはできる 四万十川の源流に近い松葉川温泉 以下、しばらく旅行記。 午前中…

土佐弁による音声ガイドを楽しむ。@高知県立高知城歴史博物館

2017年3月4日にオープンした高知県立高知城歴史博物館。オープンからほぼ1週間後に訪れることができた。近県では久しぶりの新規博物館なので、しばらく前からこの日を楽しみにしていた。 高知城を一望できる博物館 その名のとおり、博物館は高知城のすぐそば…

晴れた日の新美術館でスラヴ叙事詩を鑑賞 「ミュシャ展」@国立新美術館

前日、下北沢での仕事を終えてそのまま東京に宿泊。朝の打ち合わせを終えて、午後からのプレゼンまで少し時間があったので、国立新美術館に行くことにした。 目的はスタートして間もない「ミュシャ展」。プラハにあるスラヴ叙事詩が日本に来るとのことで、昨…

下北沢の具だくさんスープカレーとずっしりベーグルで満たされた一日@ポニピリカ・LOOP BAGLE WORKS

仕事で1年ぶりに訪れた下北沢。実はカレー激戦区らしい。激戦区に来たからにはランチはカレーと決めて、駅周辺をウロウロしながら一番気になったのはおじさんの横顔のイラスト。 入口のメニューを眺めているうちに口と胃はすっかりスープカレーモードになり…

10年前に亡くなった先輩を訪ねて冬の終わりを感じた日

先日、大学の先輩Aさんが急逝しました。それ以来、湯船に浸かったり布団に入って目を閉じたりするたびに大学時代のことを思い出し続けています。 knada.hatenablog.com 私が所属してた研究室は、国立大学でもあり、学部生から大学院生まで含めて30人ほどの大…

MY LITTLE LOVERと目玉焼きハンバーグ ―急逝した先輩との思い出

大学の先輩Aさんが亡くなりました。一昨日、急遽病院に搬送されてそのまま。40歳を少し過ぎた年齢です。 ある病気が原因ですが、前日まで元気だったそうで病気であることに誰も気づいてなかったようです。おそらく本人も。 Aさんは私の1歳年上で同じ研究室に…

リジェクトされた論文を別の雑誌に投稿してレモンパイを崩す夜

今、レモンパイをフォークで崩しながらこの記事を書いています。論文を無事提出して、夕食の買い出しついでに買って来たレモンパイです。 提出したのは年末にリジェクトされた論文を大幅修正したもの。リジェクトのメールを開いてからしばらくは呆然としてい…

冬と言えばカキオコ。大粒の牡蠣と鉄板上でのパフォーマンスを楽しむ。@安良田(岡山県備前市)

冬になると必ず通う場所があります。岡山県の東部、兵庫県との県境にある備前市日生(ひなせ)です。目的は牡蠣のたっぷり入ったお好み焼き・カキオコ。 牡蠣の養殖が盛んな日生にはカキオコを食べさせてくれる店がいくつもあり、牡蠣のシーズンになると週末…

災害が強く意識される現在だからこそ広く読まれて欲しい。『地球の歴史』(鎌田浩毅著)

シンプルなタイトルのとおり、地球の歴史を上・中・下の3巻で解説する新書です。上巻は地球の誕生から、中巻は生命の出現から、下巻は超大陸の分裂と爬虫類の出現から現代、さらに未来予測までとなっています。 書店で軽く立ち読みして、下巻から購入するこ…

古代にはどうやって朱を得ていたのか。「古代の彩り」@徳島県立博物館

2016年末のエントリで次のように書いてしまったので、今年は地方の小さな展覧会の感想もなるべくアップしていきたいと思います。 大きく派手な展覧会よりも、地域性を重視し、館のサイズに応じた展覧会こそが、全国各地に博物館・美術館が存在することの意義…

「この先10年を研究者として生きるには、今が正念場」と言われて

「なだ君がこの先10年を研究者として生きるには、今が正念場」 先日、人づてに聞いた言葉です。 言葉を発したのはNさん。Nさんは大学などの研究機関に属していませんが、論文の質も数も十分(ただし正当には評価されていないような)という方です。 (以前、…

2017年に達成すること

元日なので、今週のお題「2017年にやりたいこと」に絡めて、2017年に達成することを。 1 新規論文1本投稿 今、準備している論文を仕上げて、この分野ではレベルが高いとされる雑誌に投稿します。 自分の中では「本命研究テーマ」なので、今後の研究はこの論…

2016年 お気に入りの本 3冊

昨日の記事で言及した展覧会に引き続き、2016年に読んだお気に入りの本3冊を紹介します。一般書に限ってですが。 『これからのエリック・ホッファーのために』(荒木優太著) まず、私のような会社勤めの傍ら細々と研究を続ける人間に「在野研究者」という呼…

2016年 満足度の高かった展覧会 ベスト3

趣味と言えるほどではありませんが、博物館や美術館での展覧会を楽しみにしています。2016年は比較的いい展覧会に出合えた1年でした。 今年のまとめとして満足度の高かった展覧会を紹介します。中国・四国・近畿地方の展覧会に足を運ぶことが多いので、どう…

投稿論文がリジェクトされてシュトーレンをつつく夜

今日、論文がリジェクト(不採用)されたとの連絡を受けました。自信のある論文だっただけに、連絡を受けてからしばらく車の中で呆然としていました。 この論文の内容は、近年関心のあるテーマですが、大学以来の専門分野とは異なります。私の中では、テーマ…

科研費(奨励研究)の申請は持参するべき。可能なら。

科研費は研究機関に所属する「研究者」を対象とする助成ですが、それ以外の人でも応募できる「奨励研究」という種目があります。 教育・研究機関の教職員等であって、他の科学研究費助成事業の応募資格を持たない者が一人で行う教育的・社会的意義を有する研…

秋冬限定、宝石のような甘納豆 - 村瀬食品(香川県高松市)

広くなったり狭くなったりする山道を車でたどって着いた目的地は、周りの風景に溶け込んで、目立つとは言い難い建物。控えめに立つ「甘納豆」の看板が目印です。 香川県高松市の山間部にある村瀬食品は、甘納豆を生産・販売する、知る人ぞ知る店。この甘納豆…

ローカルな民俗芸能からも導かれる生き生きとした中世の姿 『乱舞の中世』(沖本幸子著)

サントリー学芸賞受賞のニュースを見て知った本書。数日後、最も興味を惹かれた本書を購入して読み終えました。専門外の人間でも途中でつまづかずに読み進めることができるのは、著者の文章力のおかげでしょう。 「白拍子」「乱拍子」といった、これまで実態…