知人にとある本をすすめてもらいました。『これからのエリック・ホッファーのために―在野研究者の生と心得』(荒木優太著)です。
在野にいながらも実績を残した研究者16人を紹介する本で、著者のサイトに目次が掲載されています。
16人のうち半数近くの人の本や論文は読んだことがあり、正直なところ成果としては微妙な人もいなくはありませんが、それでも名を残していることには間違いありません。そもそも生き方に興味を惹かれるものがあります。
本には40に及ぶ「在野研究の心得」が掲載されているとのことですが、サイトに項目だけ列挙されています。
たとえば「地位を過剰に意識するな」「コンプレックスを克服せよ」あたりは、私が常々抱えている劣等感に訴えかけてきます。
世間で「研究者」と言えば、大学や研究機関に所属している人を指します。私のように、研究外の仕事に就きながらプライベートで研究に関わる人間を「研究者」とは呼ばないのです。科研費や民間企業の研究助成(研究資金の幾ばくかを出してくれる)の対象も「研究者」に限られるのがほとんどです。つまり、自費でしか研究できない立場の人間は「研究者」とはみなされていないのです。
なので、ささやかながらも論文を書いたり学会で発表したりしても、私は「研究者」と名乗ることに後ろめたさを常に感じているのです。というか、大学の先生を前にして自身のことを「研究者」などとは口が裂けても言えません。
「論文博士を目指そう」「研究は細く長く続けること」などは、時間がかかっても研究を続けることが大事、と思わせてくれます。
最後の「この世界には、いくつもの<あがき>方があるじゃないか」は、なんとか水面に顔だけでも出そうとあがいている私の今の境遇を察してもらっているかのようです。
「在野研究の心得」の項目を読んだだけで救われた気になっていますが、本自体をまだ入手できていません。「ことの詳細は実物をめくるべし!」とあるので、実物をめくるのが待ち遠しいです。
2016年3月3日追記
読後のエントリです。