ページをめくってもめくっても色とりどりの鳥瞰図。とにかく掲載点数が多いのです。
先日来、「大正広重」と呼ばれた鳥瞰図絵師、吉田初三郎に関する資料を読んでいます。
『美しき九州 「大正広重」吉田初三郎の世界』は、福岡を拠点に吉田初三郎研究を続ける著者が手がけた本です。北九州市立自然史・歴史博物館で開催された展覧会図録を元に資料を追加し、再編集したとのこと。
吉田初三郎に造詣が深く、収集家でもあるため、情報も鳥瞰図も充実しています。九州の鳥瞰図はほぼ網羅されているのでしょう。資料的価値の高い本です。
一方、鳥瞰図の掲載点数が多いため、眺めているだけでも楽しいのです。特に後半部分では、港湾都市である長崎や下関、炭鉱で栄えた直方、飯塚、温泉地の霧島、人吉といった昭和初期を中心とする九州諸都市の個性的な姿を堪能できます。
これらの鳥瞰図が展示されていたであろう、北九州市立自然史・歴史博物館の展覧会、観たかったです……。