40代社会人大学院生、博士を目指す。

岡山を拠点とする年齢的にも経済的にも余裕のない社会人が、少しでも研究実績を積み上げようとあがいています。

これからも書く以上は定期的に読み直したい。『書くことについて』(スティーヴン・キング)

藤村シシンさんのこのツイートをTLで見た翌日の昼休み、書店で『書くことについて』を購入した。(元の本は『On Writing: 10th Anniversary Edition: memoir of the Craft』とのこと)

 

早速読んだ。スティーヴン・キングらしく、やや品のない話題も混ぜながらテンポよく内容が進む。おかげでハイスピードで読み終えることとなった。さすがである。

中盤以降は小説を書くためのスキルが中心になるが、よりおもしろいのは中盤以前の「履歴書」パートである。ここでは自身の幼少期からの来歴が語られる。

 

特に、藤村シシンさんがツイートに写真を上げている94ページの前後は、これから(これからも)文章に向き合う人は読むべき箇所だと思う。

20代の筆者がウィークディは高校で英語を教えながら小説を書くもなかなか芽が出ない時期のことを述べている。以下、一部引用する。

三十年後の自分の姿を思い描くのは簡単だった。(中略)机の引きだしには六本か七本の書きかけの原稿が入っていて、酔っているときなどに、ときどき取りだして手を入れている。余暇の過ごし方を問われたら、小説を書いていると答えるだろう。人一倍自尊心の強い作家志望の教師が、ほかに何をして暇な時間をやりすごせばいいというのか。もちろん気慰みとしりつつ、私は自分にこんなふうに言い聞かせる。時間はまだまだある。これからでも遅くはない。五十はおろか、六十を過ぎてから世に出た作家はいくらでもいる。

 

心にグサリと突き刺さった。40代となり、仕事以外の時間のうちの少しを充てて、書きかけの論文に文字を足したり引いたりしている自分のことではないか。

この歳でちまちまと研究を続けることはすでに時遅しなのだろうが、それでも引用した上記の箇所を定期的に読み返してもう少し研究にしがみついてみる。まだあきらめられない。

 

こうした本に交通事故的に出合うことができるのはSNS、特にオープン性の高いTwitterの利点のひとつだろう。Twitterを利用し始めてから、自分の主な関心領域の、もうひと周り外にある本を読むようになったのは間違いない。