40代社会人大学院生、博士を目指す。

岡山を拠点とする年齢的にも経済的にも余裕のない社会人が、少しでも研究実績を積み上げようとあがいています。

社会に出て間もない私に自信をもたらした元造船所職員の言葉

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社会に出て間もない頃、社外の様々な人たちと一緒に組むプロジェクトのリーダーを任されました。

10人ほどのメンバーは全員私より年上でした。最年長は、長く造船所に勤めていたという60代の男性。

プロジェクト開始時の顔合わせの後、彼にビルの裏に呼びだされました。二人きりになってから彼が口を開いて語りだしたのです。

 

「ワシが若い頃の話や。ワシは新造船を操縦してドックに入れてたんや。後ろにいた上司が窓の先を見ながら方向をワシに指示するんやけどな、このまま行くと絶対にぶつかる、いうのが分かったんや。せやけど、ワシは指示通りに操縦した。そして案の定、船の左前がぶつかってしもた」

 

私は何の話だろう、と思いながら黙って頷いていました。

 

「ワシが言いたいんは、どんなことでもアンタの言うことに従うっちゅうことや。せやから心配せんと自身持って指示を出せ」

 

20歳そこそこの私は、突然社外の面識のない年上の人たちを率いることになって不安だらけでした。そんな状況の私にとって、彼の言葉は本当に心強かったのです。

根拠も経験もない私が、スタートのその日から自信を持ってぶれずにプロジェクトを進めることができたのも彼の言葉のおかげだし、最初からメンバーを信頼して仕事を依頼することができたのも彼の言葉のおかげでした。

 

20年近く前の出来事ですが、自分より若い人がリーダーとなって進めるプロジェクトでは、似たようなことを伝えて不安を取り除くようにしています。

 

私の社会人としてのキャリアに影響を与えた彼は10年ほど前に亡くなりました。今日、移動中に彼が住んでいた家を見かけて、当時の出来事を鮮明に思い出したのです。