40代社会人大学院生、博士を目指す。

岡山を拠点とする年齢的にも経済的にも余裕のない社会人が、少しでも研究実績を積み上げようとあがいています。

子ども独特の思考を奪ってしまうのはもったないない

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子どもとは同居していませんが、定期的には会っています。

先週、一緒に過ごした日に持っていた小さなスクールバッグ。子どもが小さい頃にどこかでもらってきて、何年も使ってきたものです。最近、汚れも目立ち、生地も薄くなってきたな、と思いながらよく見ると、底の角に結構大きな穴が開いています。

なので、新しいバッグの購入を提案し、一緒にショッピングモール内の店舗をウロウロしながら子どもでも持てる大きさのバッグを探しました。1時間ほど見て回って選んだのが、口にファスナーが付いている小さめのトートバッグです。1620円。濃い茶色と白の細いストライプは、親子ともに納得した柄です。

 

新しいバッグを手に広い駐車場を歩いて戻った車の中では、早速バッグの中身を移し替えます。小さなものだと穴から落ちてしまうから、と子どもを急かしたのです。

移し終えた子どもが一言。

「古いバッグはどうしたらいいん?」

穴が開いているバッグは、大事な中身が落ちてしまうかもしれないから使えない、なので捨てるしかないと思う、と伝えました。

この答えに子どもは大きく目を見開きました。使えなくなったからといって、大事にしてきたものを捨てるという発想に困惑し、驚いたようです。

 

穴の開いたバッグは使えない、というよりもむしろ、中に入れたものを紛失してしまうリスクを抱えています。そのリスクを回避するためには、捨ててしまうのが最善、と考えるのですが、その考えは大人の社会での合理的思考です。

一度もバッグからモノを落としたことのない子どもには、そこまでの合理的な考えには及ばず、むしろ大事なモノは手元に置いておくのが当然という思考です。それが使えるか使えないかではないのです。

 

子どもの表情を見て、私は古いバッグの廃棄を勧めるのを止めました。バッグとして使うことは止めておくべき、とだけは伝えましたが。

 

子どもには、知らず知らずのうちに大人社会で当然とされる考え方を押し付けているのかもしれません。それと引き換えに、子ども独特の思考を奪ってしまうのはもったないない、と思ったのです。合理的思考に妨げられていないコトを、大切に扱わないといけないような気がしたのです。