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独り身の40代、大学院進学と博士を目指す。

岡山を拠点とする年齢的にも経済的にも余裕のない社会人が、少しでも研究実績を積み上げようとあがいています。

温泉宿で論文を書くと捗るのか?@ホテル松葉川温泉(高知県四万十町)

研究 食べる 高知 温泉

温泉宿に滞在して論文の原稿を書くと捗るのか?

1泊した結果は次のとおり。

・思うほどは書けない (2,000字/3時間)

・意外と作業できる時間はない (5時間)

・思考に集中することはできる

 

四万十川の源流に近い松葉川温泉

以下、しばらく旅行記。

午前中は高知城歴史博物館を見学し、昼食と買い物を済ませて高知市を離れる。

knada.hatenablog.com

 高知市から車で1時間ほど高速道路を走って西に向かい、道の駅あぐり窪川で休憩を取る。

目的は豚串。この地域でブランド化された「米豚」を甘辛く味付けして焼いたものだ。網の上で焼く香りに引き寄せられる人は多いはず。1本350円。

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豚串でささやかな欲求を満たした後、四万十川沿いの道を上流に向かって進み、川が二股に別れる地点で日野地川という川に切り替えてさらに遡る。あぐり窪川から30分ほどで到着したのは、川沿いにぽつんと建つホテル松葉川温泉だ。この日の宿泊地である。ホテルのサイトの紹介文にあるように周りに店舗などは一切ない。あるのは渓流と森と空。

15:00にチェックインをして8畳の和室に入って荷物を置く。着替えや洗面道具のほかに持ち込んだのはノートパソコンと数冊の本と大量の文献コピー。1か所しかないコンセントに合わせて机と椅子を移動させ、パソコンを設置する。

部屋の窓からは渓流に架かる赤い橋が見える。 

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旅館といえば茶菓子。普段はゲストハウスかビジネスホテルにしか泊まらないため新鮮だ。こちらの茶菓子は生姜せんべいだった。

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せっかくの温泉宿なので、まずは温泉に浸かる。露天風呂は渓流に面しており、川面からの高さもあって開放感は抜群。

(温泉の撮影はできないのでこちらのサイトを参考に 温泉 | ホテル松葉川温泉

松葉川温泉の湯は透明で少しとろっとしている。そして湯に浸かった後しばらくは肌が滑らかになる。どれくらい滑らかになるかといえば、いつもの調子で軽く手にしたiPhoneが滑り落ちるくらい。

この泉質と開放感が好きで、松葉川温泉には日帰り入浴で何度も訪れている(宿泊は初めて)。

 

湯を出てから周辺を散策。部屋から見えていた赤い吊橋を渡って対岸の森へ。森の中には散策できる道が整えられていて、河原に降りることもできる。

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部屋に戻って夕食までの1時間は、急遽舞い込んだ校正作業に費やす。 夕食は一番安いプランだが、普段の食事を考えると十分贅沢。 やはり豚肉がおいしい。

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デザートは苺のアイス。

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夕食後、期限が迫った確定申告の仕上げに1時間かけて、ようやく論文の原稿に取りかかる。1時間程度。

原稿を22:00で切り上げ、再度入浴してから23:00に就寝。

 

翌朝は6:00に起床して7:00まで原稿執筆。

三度、温泉に入ってから朝食を取る。骨まで柔らかくなったアメゴ(アマゴ)は頭から尾まで食べられる。

朝食後、チェックアウトまでの1時間でキーボードを叩く。

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集中して自分の思考に入り込めた

という訳で、1泊しての作業時間は5時間、そのうち原稿執筆に充てられたのは3時間だった。どうしても温泉に数回入ったり、食事に時間をかけたりするので思ったより時間を取れなかった。入浴回数を減らせば、もう1時間くらいは捻出できそうだ。

 

小刻みの3時間で書けたのは2,000字。すでに書いていた文章の切り貼りもあるので、一から書いた文章は1,500字程度だろう。私の執筆スピードは早いうちには入らないが、それでももう少し書きたかったのが本音だ。

 

文章量が稼げなかった代わりに得られた最大の成果は、考えを納得のいくかたちでまとめることができた点だ。普段より集中して自分の思考のなかに入り込めた状態だったことは間違いない。

家にいると家事を気にせざるを得ないし、カフェや図書館だと机の専有時間に配慮する必要もある。こうした心配事を意識の外に追いやることができたのだと思う。湯に体を沈めていても頭は研究モードになっていたし。

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罪悪感を感じなかった2日間

多少は成果もあったので、温泉宿での論文執筆には再度挑戦したい。立地や泉質が気に入っているので、また松葉川温泉になるかもしれないが。

なお、いい温泉とおいしい食事で過ごした2日間、少しでも研究を進められたせいか罪悪感を感じなかったことも強調しておきたい。 

 

土佐弁による音声ガイドを楽しむ。@高知県立高知城歴史博物館

観る 高知

2017年3月4日にオープンした高知県立高知城歴史博物館。オープンからほぼ1週間後に訪れることができた。近県では久しぶりの新規博物館なので、しばらく前からこの日を楽しみにしていた。

 

高知城を一望できる博物館

その名のとおり、博物館は高知城のすぐそばにある。オープンとともに「志国土佐 幕末維新博」というイベントも始まって、博物館はそれなりににぎわっていた。f:id:knada:20170313132935j:plain

1階はチケット売り場とミュージアムショップ、2階は高知城に面したカフェとなっている。2階までは無料で利用できる。ミュージアムショップは博物館オリジナルの商品は少なめ(これから増えるのかもしれない)で、おみやげになるような特産品がスペースの半分くらいを占めている。

3階ロビーの片側壁面は大きなガラス張りで、高知城を一望できる。この日は快晴でいい眺め。

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土佐弁による音声ガイド

3階の展示室入口では、解説用タブレットの無料貸出サービスがある。借りようと思ってスタッフの方に声をかけると、「スマートフォンでも利用できます」とのこと。館内の無料wi-fiにつなぐとわかりやすい操作で解説画面に移ることができる。このUIは素晴らしい。 

画面をいろいろ触っていると、言語選択で最下段に「土佐弁」があるのを見つけてしまった。

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私は、コピーや標語などへの方言の使用があまり好きではない。方言の範囲は明瞭に線引きできるものではなく(グラデーションがかかったような範囲になるはず)、a県を代表するとされる方言Aは、a県全域で使用されているとは限らない。しかし、a県の言葉として方言Aが使用されるコピーや標語は多く存在する。a県に住んでいながら方言Aを使用しない地域の人がこのコピーを見た場合、疎外感や無理解を感じることはないのだろうか。

と、面倒なことを書いておきながら、高知城歴史博物館の土佐弁による解説は「あり」だと思う。「ご利用ガイド」に自虐的な言葉も見えるが、ユーモアと多少のお国自慢(地方博物館なのでそうした方向性にはなるだろう)を前面に押し出して楽しませてくれる。ガイドの内容は相当に練り込まれている。言語選択に「日本語」もあり、土佐弁の解説が県外の人を対象とした内容になっている点が、先述の個人的な懸念を超えているため「あり」だと感じるのかもしれない。

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導入部分の年表と絵図 

展示は近世を中心とした内容。土佐山内家宝物館を前身とするためだろう。

ただ、導入部分には旧石器時代以来の高知の年表が掲げられ、古代の瓦なども展示されている。記録に残る数回の南海地震が年表中に見えるのは、今の時期の博物館オープンであることを強く意識させる。

導入には高知が描かれた中世〜近世の絵図も大きなパネルで掲示されている。高知という場がどう認識されてきたのかを順を追って比較できる良展示だと思う。

 

変わり兜の展示と試着

企画展「未来へひきつぐ美とかたち」で目を引くのは、いくつも並んだ変わり兜。

ロビーに出ると、試着コーナーに展示されていた変わり兜が(もちろんレプリカ)。近年、博物館や美術館での試着はよくみられるが、ここの兜試着は、大人でも子どもでも簡単に被ることができて種類も揃っていることが特徴だろう。数人で異なる兜を着用してスマホで写真を撮る(そしてSNSにアップする)シチュエーションを産みやすい。人気コーナーになるだろう。

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地域単位のリーフレット

高知城歴史博物館は地域単位(近世の村単位くらいか)でリーフレット「地域記録集」を発行している。資料に基づいたしっかりした内容(しっかりしていてまだすべて読めていない)で、博物館の展示がこうした研究や活動に支えられていることがよくわかる。今後の発行も楽しみだ。

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昼食は土佐茶カフェで

博物館に面した通りは有名な日曜市で、正午前でもこの人出(朝の時間が早いほど品揃えがいい)。博物館はいい場所に立地している。

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日曜市の混雑を抜けて昼食を取るために土佐茶カフェへ。博物館からは徒歩5分程度。

この日は高知で豚肉三昧と決めていたので、四万十豚のソースカツ丼を注文。相変わらず、味噌汁は具だくさん、小鉢もあって、茶(冷・温)がおいしい。これで550円。

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さらに茶とスイーツが付いてくるセットがお得だが、この後の間食の予定もあったので食事だけにとどめる。セットの内容は過去のエントリに。

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昼食を終えた後、高知市を離れて次の目的地へ向かう。青空の下だと長時間の運転も苦にならない。

晴れた日の新美術館でスラヴ叙事詩を鑑賞 「ミュシャ展」@国立新美術館

観る 東京

前日、下北沢での仕事を終えてそのまま東京に宿泊。朝の打ち合わせを終えて、午後からのプレゼンまで少し時間があったので、国立新美術館に行くことにした。

目的はスタートして間もない「ミュシャ展」。プラハにあるスラヴ叙事詩が日本に来るとのことで、昨年から話題になっていた展覧会である。この機会を逃すとスラヴ叙事詩は見られないかもしれない、と思って千代田線のホームに向かう。

 

乃木坂の駅から直結の階段を上ってチケット売り場に並ぶが、平日の11:00ということもあってか数分待っただけでチケットを購入できた。

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この日は朝から快晴で、外を歩いていても自然と足取りは軽くなる。 ガラス張りの新美術館には春の光が降り注ぎ、美術館の中をほどよい暖かさと明るさで満たしていた。

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ミュシャ展」は2階の展示室。展示室にも並ばずに入れる。

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展示室に入ってすぐにスラヴ叙事詩が高い壁にずらりと並んでいるのが目に入る。

実際に目の前にすると想像以上の大きさで、作品と少し距離を置かなければ全体を鑑賞することができない。展示室内にはそれなりに人がいたものの、こうした事情により、スラヴ叙事詩20点の鑑賞はさほど混雑が気にならなかった。スラヴ叙事詩より後のコーナーの小さな作品を鑑賞するほうがよほど大変。

これだけ大きな作品なので、じっくり観察しようと思えばオペラグラスや単眼鏡は必須。この日、単眼鏡を持っていなかったことを少し悔やんだ。

 

なお、スラヴ叙事詩5点については撮影可能となっている。もちろん大多数の人はここで撮影。私は美術館や博物館での撮影については賛成の立場だが(条件が許せば)、土日や展覧会終盤の混雑期に「ミュシャ展」の撮影可コーナーがどういう影響を与えるのか興味はある。確実に多くの人が来館する展覧会での一部撮影可、というのは試みとして今後のいい材料になるだろう。

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展示室を出たところに設けられているショップのレジは長い行列で、図録を買う予定だったが時間もないので諦めた(Amazonで注文した)。

 

カフェの限定メニューにも惹かれたが、こちらも昼食時で待ちが生じていたので断念。

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展覧会の鑑賞を終えても、新美術館にはまだ楽しみがある。建物の周りの散策である。この日のような天気だとなおさら。この美術館には青空と太陽が似合う。

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午後からのプレゼンにはいい状態で臨むことができ、結果もついてきた。新美術館で過ごした2時間のおかげだ。

下北沢の具だくさんスープカレーとずっしりベーグルで満たされた一日@ポニピリカ・LOOP BAGLE WORKS

食べる 東京 カレー

仕事で1年ぶりに訪れた下北沢。実はカレー激戦区らしい。激戦区に来たからにはランチはカレーと決めて、駅周辺をウロウロしながら一番気になったのはおじさんの横顔のイラスト。

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入口のメニューを眺めているうちに口と胃はすっかりスープカレーモードになり、このポニピリカに入ることに。

週替りスープカレー、サラダ、ドリンクで1,000円のランチセットがあったので、こちらを注文する。ライスは量を選べるうえ、おかわりも自由。カレーの辛さももちろん選べる。

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店内はエスニック風だが、それで統一されているわけではなく、クイズマシーンや御札などもあって少しカオスな感じが下北沢らしい。

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少し待って運ばれてきたスープカレーは見るからに具だくさん。人参、大根、オクラ、ほうれん草、チキン、キクラゲ、豆苗などが入っていて食べ応えもある。なかでも皮付きのじゃがいもは、じゃがバターで食べてみたいほど濃厚な芋の味だった。

和風の味(ダシ)とスパイスのバランスが絶妙なスープカレーは深みがあって癖になりそう。このカレーの味にはなかなか出合えないと思う。

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雑穀米にトッピングされるゆで卵がうれしい。

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通常メニューは少し高めだが、エゾシカハンバーグのカレーなどもあって再訪欲が高まる。近所にあったら定期的に食べたいスープカレーだ。

 

スープカレーの後はベーグルを買うために南口のLOOP BAGLE WORKSへ向かう。 

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ベーグル専門店(テイクアウト)のLOOP BAGLE WORKSでは、基本のベーグル(プレーン、チーズ、ブルーベリー、バジルなど数種類ある)が200円で販売されている。ベーグルはかなり大きく、持つとずっしりしているのがわかる。200円でこのサイズは安い。

今回は夕食にそのまま食べたが、生地がいい意味で主張しすぎない味なので、ツナやトマトなどをサンドして食べてみたい。

ちなみにLOOP BAGLE WORKSにはサンドもある。このベーグルのサンドだと1個でも1食分になりそう。

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この日は下北沢のスープカレーとベーグルで胃も心もすっかり満たされた。食べ物がおいしい街は、いい。 

 

retty.me

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10年前に亡くなった先輩を訪ねて冬の終わりを感じた日

雑記

先日、大学の先輩Aさんが急逝しました。それ以来、湯船に浸かったり布団に入って目を閉じたりするたびに大学時代のことを思い出し続けています。

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私が所属してた研究室は、国立大学でもあり、学部生から大学院生まで含めて30人ほどの大きくない所帯でした。今回はそのうちの1人が亡くなったのですが、10年ほど前にも別の先輩Dさんがこの世を去りました。40歳そこそこの年齢で大学時代を共に過ごした数少ない人を2人も失ってしまったのです。

今回の件ではDさんとのさまざまな出来事も思い起こすことになり、葬儀以来、足が遠のいていたDさんの元を訪ねることにしました。

 

墓参したことがある友人に連絡を取って、墓地の場所を聞いてみたものの明確な答えは得られませんでした。分かったのは、墓地が寺院や公的機関が経営するものではなく集落で管理されているような小規模なものだということ、その墓地はDさんの実家の近くということです。

Dさんの実家は四国某所にあり、葬儀に行った記憶を頼りにgooglemapsを開いておおよその場所を確認、とりあえず実家付近を目指すことにしました。行って近くで墓地を探せばなんとかなるだろうと思ったのです。

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寒さも和らぎ青空の広がっていた先日、車で瀬戸大橋を渡り、Dさんの実家方面に向かいました。10年前に見た景色が少しづつ思い出されてきて、途中からはgooglemapsを開かなくても実家の近くにたどり着くことができました。

車のスピードをかなり落として周辺の風景に注意を払っていると、右手に墓地が見えてきました。小さな集会所と小堂のそばに10基ほどの墓石が並んでいます。

「ここだ」という直感を頼りに車を停めて、墓石を1つずつ確認しながら敷地を周ります。しかし、Dさんの名前はどこにもありません。念のため墓地をもう1周しましたが見当たりません。Dさんの墓はここには無いようです。

 

諦めてハンドルを握り直し、ゆっくりと車を進めていると小高い丘の上の墓地を発見しました。今度は半信半疑で墓地に入り、墓石を確認していきますが、ここにもDさんの墓はありませんでした。

 

運転席に戻って少し考えた末、市役所の支所を訪ねることにしました。支所の窓口で訳を説明して住宅地図を見ながら墓地の場所をいくつか教えてもらいます。地図を眺めていると、この地域では小字(地区)ごとに墓地が設けられていること、墓地には集会所と小堂がセットになっていることが見えてきました。

Dさんの実家の小字名を冠したは集会所を住宅地図で探し、その傍らに墓地もあることを確認しました。その位置をgooglemapsに落として再び車を走らせます。

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目的の墓地は車1台が通るか通らないかの狭い道の奥、住宅に囲まれた中にありました。車でウロウロしていても見つけられないはずです。

Dさんの墓は入口から数えて6基目でした。手入れの行き届いた墓石の花立には梅の枝が2本ずつ差してあります。青空に映える瑞々しい枝の表面と張りのある白い花。この日、冬の終わりを感じました。

安堵しながら手を合わせて、Aさんが亡くなったことを報告し、10年間来ていなかったことを詫びます。焼肉をおごってもらう約束はどうなったのかと問うことも忘れずに。

 

MY LITTLE LOVERと目玉焼きハンバーグ ―急逝した先輩との思い出

雑記

大学の先輩Aさんが亡くなりました。一昨日、急遽病院に搬送されてそのまま。40歳を少し過ぎた年齢です。

ある病気が原因ですが、前日まで元気だったそうで病気であることに誰も気づいてなかったようです。おそらく本人も。

 

Aさんは私の1歳年上で同じ研究室に所属していました。Aさんの誰に対しても同じ態度で接するところを尊敬していました。語学が堪能なAさんは1年間休学してイギリスに留学していたので、途中から私と同学年となり一緒に卒業を目指すことになります。

 

毎週聴き続けたMY LITTLE LOVER

大学入学時に英語力の無さを痛感した私は、専門的な英書を読む外書講読の授業が苦手でした。授業前の予習に辞書を引きながらかなりの時間を要しても、当日の授業の半分は理解できないような状態です。

授業についていくために、毎週、友人と一緒にAさんの部屋に上がり込んで予習のノートを見てもらうことになりました。その際、部屋で常にかかっていたのがMY LITTLE LOVER(現My Little Lover)のデビュー・アルバム「ever green」です。

毎週聴くうちに私もCDを買ってしまい、CDウォークマンにセットして持ち歩いていました。

無事取れた外書講読の単位は、MY LITTLE LOVERのファンになったこととの引き換えみたいなものです。

 

卒論と共にあった目玉焼きハンバーグ

卒論執筆が本格化する4年生の夏からは、毎日のように研究室でAさんと共に卒論に向き合っていました。

12月になると、卒論・修論を抱えた学生は研究室にほぼ泊まり込み状態になります。

この頃、私と友人は23:00になるとAさんを誘って、夜食と散歩を兼ねて毎晩近くのガストに出かけていました。冷たい空気の中をポケットに手を入れて、くだらない話をしながら店までの道を並んで歩いていたことを思い出します。

店内に入り、席に着いてみんなが注文するのは決まって目玉焼きハンバーグとライス。ガストのメニューの中でも低価格の組み合わせですが、裕福ではない私たちにとってはそれでも安くない食事でした。それを「卒論の追い込みだから」「気分転換だから」と言い訳しながら、毎晩贅沢をしていたのです。

 

目玉焼きハンバーグは無く、MY LITTLE LOVERを聴く今

Aさんの訃報を聞いて以来、大学時代のことがディテールとともに蘇ってきます。久しくガストにも行ってなかったのですが、今こそ目玉焼きハンバーグを食べる時だ、と思い立ったのが今日の夕方。車を停めてネットで検索してみると、なんとメニューから目玉焼きハンバーグが消えていました……。

ガスト<グランドメニュー>17.02.07現在

 

仕方がないので目玉焼きハンバーグはあきらめて、押入れの奥の何年も開けていないCDボックスを引っ張り出し、こんなの持っていたかな、というようなCDを繰ってevergreenを見つけ出しました。今、ヘビーローテーション中です。

リジェクトされた論文を別の雑誌に投稿してレモンパイを崩す夜

研究

今、レモンパイをフォークで崩しながらこの記事を書いています。論文を無事提出して、夕食の買い出しついでに買って来たレモンパイです。

提出したのは年末にリジェクトされた論文を大幅修正したもの。リジェクトのメールを開いてからしばらくは呆然としていました。内容に自信もあったので……。

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リジェクトされた論文のテーマに見切りをつける

見たくないメールを受信してから数日を経て、冷静に考えて別の投稿先を探すことにしました。

同じ雑誌に再投稿する道もあるのですが、査読コメントに納得がいかない点や、私がこの学会の「作法」を身につけるまでに時間がかかる点を考慮しました。そしてなにより、この研究テーマに一旦見切りをつけたのです。

1年前の私は研究テーマを、A(本命)、B(対抗)の2つ掲げていました(実はもう1つありますが)。リジェクトされた論文はテーマBです。

A・Bどちらかのテーマで早いうちに成果を出して大学院に進学する予定でしたが、今回リジェクトされたことでテーマBについては諦めがつきました。このテーマでのネタはいくつかあり、しばらく研究を続けられそうな見通しも持っていますが封印することにしました。老後の楽しみに取っておきます。

 

論文を別の雑誌に投稿

このため、今回の論文は早いうちに世に出して「成仏」*1させるのがいいだろうと判断しました。早く出してもらえそうなところに相談し、投稿を受け付けてもらえることになりました。編集部の判断で掲載の可否が決まる「紀要」的な雑誌です。

厳しい査読がないとはいえ、一度はリジェクトされた論文なので大幅に修正し(一応査読コメントも参考にして)、投稿先の雑誌のスタイルに整えて、今日の夕方にメールで送信しました。

 

編集部の方は「内容的には問題ないと思う。もし掲載できなくても別の雑誌を紹介する」と言ってくれました。捨てる神あれば助ける神あり、とはこのこと。

 

初めて買ったレモンパイは甘さと酸味のバランスがいい感じです。

*1:Twitterのフォロワーさんの言葉をお借りしました。この状態を表すのに絶妙。