数ヶ月前、荒削りだけれども強く惹かれる論文に出会いました。専門は異なりますが、それでも最後まで読ませ、考えさせられる内容です。
先日、その著者と議論する機会に恵まれました。某大学を訪ねた折、そこに来ていたポスドクの若い人がその著者だったのです。
実際に話をしてみても、彼女の論は突っ込みどころ満載で、裏付けとなるデータの怪しい箇所もしばしばあるような代物です。けれども、その見据えているものの大きさに圧倒されたのです。
人文系の研究とは本来こうあるべきなのかもしれません。
実証的にデータを積み重ねることはもちろん重要ですが、そこで得られた結果を小さくまとめてしまいがちな自分の姿を省みて、自問自答を繰り返しています。
彼女は春から東京の某大学への就職がきまったとのこと。安定した職(かどうかは分かりませんが)を得て、持論に磨きをかけてくれるでしょう。
彼女とは再度の議論を望みます。自分にそのスケールで思考できるよう訓練を施して。