趣味と言えるほどではありませんが、博物館や美術館での展覧会を楽しみにしています。2016年は比較的いい展覧会に出合えた1年でした。
今年のまとめとして満足度の高かった展覧会を紹介します。中国・四国・近畿地方の展覧会に足を運ぶことが多いので、どうしてもそのあたり中心のセレクトになってしまいますが。
1位 「大原治雄写真展」@高知県立美術館
高知出身で移民としてブラジルに渡り、写真を撮影していた大原治雄。そのモノクロ写真は、光が本当に美しく、1枚1枚が物語を紡いでいるように見えました。かなりの点数が展示されたいたのですが、ブラジルにまだあるという他の写真も機会があればぜひ観たいです。
実はこの展覧会を観て以来、Flickrには主にモノクロ写真をアップするようになってしまいました。それくらい影響を受けたのです。
2位 「アートと考古学」@京都文化博物館
考古学とアートという異世界の2者をうまくつなげた展覧会でした。遺跡から出土する1,000年前の土器や瓦は現代のアーティストにどう映っているのか、視点が変われば物の意味も変わるという例がいくつも示されていたと思います。
私は、この展覧会の成功は京都という場にあると見ています。地理的にまとまり、大学が密集、アーティストも多い、という特性が京都にあるためです。こうした試みが、将来、さらに展開していくことを楽しみにしています。
3位 「氷河時代」@大阪市立自然史博物館
ブログの記事にはしませんでしたが、積み重ねられた研究と、大阪という属性が十分に反映された展覧会でした。解説書(「図録」ではありません)はちょっとした概説書で読み応えがあります。
同日に国立民族学博物館で「見世物大博覧会」を観たのですが、両者を観た結果、「氷河時代」に軍配を上げます(大阪に行くまでの本命は「見世物大博覧会」でした)。大きく派手な展覧会よりも、地域性を重視し、館のサイズに応じた展覧会こそが、全国各地に博物館・美術館が存在することの意義だと思うからです。
2017年に向けて
私は展覧会のタイトルと内容を見て、その博物館・美術館に足を運びます(多くの方はそうだと思いますが)。12月、「色の博物誌」という展覧会に惹かれて目黒区美術館を訪れました。記事にも書きましたが、館に入ってすぐのエントランスに掲げられた館長メッセージに感銘を受けました。部下の日頃の取り組みについて胸を張って来館者に伝えているのです。目黒区美術館を訪れたのは初めてでしたが、このメッセージを読んで、他の展覧会もいいに違いない、と確信したので目黒区美術館は再訪したいと思います。
同様に、いい展覧会を企画した博物館・美術館については展覧会の内容に関わらず、とりあえず足を運ぶように心がけます。おそらく一定の水準は保証されているでしょうから。