40代社会人大学院生、博士を目指す。

岡山を拠点とする年齢的にも経済的にも余裕のない社会人が、少しでも研究実績を積み上げようとあがいています。

秋晴れの粟島で作品を巡る散策旅【瀬戸内国際芸術祭2016】

10月からスタートした瀬戸内国際芸術祭2016秋会期。秋会期には、本島、高見島、粟島、伊吹島の4島も会場になります。

秋晴れで気持ちのいい朝、粟島に渡るため須田港(香川県三豊市)に車を走らせます。港には8:30に到着し、往復切符(660円)を購入して9:05発の船を待ちます。港には無料のすだちサービスが。 

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須田港から粟島までの所要時間は15分。島に近づくと見えてくるエメラルドグリーンの建物は粟島海員学校として使われていた建物で1890年の建築。瀬戸内国際芸術祭の作品も展示されているので、後で訪ねます。

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粟島の作品のほとんどは港の近くに集まっていますが1作品だけ離れています。まずはその作品を観るために港から奥に伸びる道をたどって西側の浜を目指します。

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10分ほど歩いて浜に出ると、沖に浮かぶレンガ積みの象「Re-ing-A」(日比野克彦)が見えてきます。

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穏やかな波が行き来する砂浜を散策した後、道を半分ほど戻って作品のある旧粟島小学校へ。

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旧粟島小学校の向かい、旧粟島幼稚園の建物を利用した「思考の輪郭」(エステル・ストッカー)は個人的に粟島で最も印象に残った作品。四方を囲まれた内部から見上げる青空も含めて、現代美術らしさを強く感じました。粟島は地域との関わりを前面に押し出す作品が多く、その中にあって作家の個性が際立つのかもしれません。

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旧粟島中学校では「日々の笑学校・粟島研究所」としてレジデンスの作家数名の作品が展示されています。

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前回の瀬戸内国際芸術祭2013で相当な人気を博した「漂流郵便局」(久保田沙耶)は今回も健在。

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3年ぶりに訪れましたが、作品のメインである「いつかのどこかのだれか宛」の手紙の増えた量にまず驚きました。なんと18,000通を超えているとのこと。3年前に投函した手紙を見つけられるわけもなく……。

何通か読みましたが、亡くなった最愛の人あての手紙が多く、現実世界でコミュニケーションを取れなくなってしまった相手への募る想いをどうにかしたいという人は多いのかもしれません。

私が読んでいる側でハガキを買って手紙を書こうとしている人もいました。手紙を読んでいるうちに誰かを思い出し、何かを伝えたくなってしまうのがこの作品の持つ力でしょう。

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 海に出て、桟橋に着けられてる「一昨日丸」(日比野克彦)の中の展示を見学します。土日祝日には粟島周辺を航行する一昨日丸に乗船できるとのこと。1回1,000円。定期船以外の船に乗る機会のない方は貴重な体験になるかもしれません。

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「一昨日丸」の対面には定期船から見えていた旧国立粟島海員学校の建物。こちらには「SOKO LABO OPEN」(SOKO LABO)と「ソコソコ想像所」(日比野克彦)の作品があります。大正期の木造建築も、広い窓越しに眺める海もいい感じです。

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粟島はゆっくり作品を見て回って2時間程度。乗船時間込みでも半日あれば十分楽しめます。 

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芸術祭期間中は食べるところも島内にありますが、須田港に戻ってきてから車で移動できるなら、もりがオススメです。今回食べた「鳥取大山もち豚つけうどん」(600円)は生姜と胡椒のつけだしが癖になる一品でした。また食べたいです。

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瀬戸内国際芸術祭2016を楽しむならこちらも参考に

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文系の博士後期課程に必要な学費は? 国立・早慶・関関同立を比較してみる

40代で大学院博士後期課程への進学を考えています。進学準備にあたり、今の私にとっての最大の難関は学費の準備です。これまでのエントリでも国立や立命館大学の学費について触れてきました。

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学費を大学院の選択基準にするのはありえないのかもしれませんが、ネットで把握できる範囲で早慶関関同立の各大学について調べて比較してみました。

 

博士後期課程3年間の授業料・入学金等の合計比較

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国立大学 2016年度 http://www.keinet.ne.jp/dnj/16/gakuhi/k_gakuhi.pdf

早稲田大学 2017年度 文学研究科http://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2016/07/2017_gakuhi-hakushi.pdf

慶應義塾大学 2016年度 文学研究科 【大学院】学費:[慶應義塾]

関西大学 2017年度 文学研究科 http://www.kansai-u.ac.jp/Gr_sch/tuition/asset/tuition2017.pdf

関西学院大学 2015年度 文学研究科 HOME|関西学院大学大学院 HOME|2011~2015年度入学生対象 大学院の検定料・学費

同志社大学 2017年度 文学研究科 学生納付金(博士課程(後期課程))|大学院入試|同志社大学

立命館大学  2017年度 文学研究科 http://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=273911

 

文学研究科で比較しましたが、文系であれば多少の差はあっても近い額です。私は上記私立大学いずれにも在籍していたことがないため入学金が必要になりますが、出身者であれば入学金等を納める必要はありません。

 

国立と比べても立命館の学費(1,830,000円)は安いです。立命館を除く関西の3大学が早稲田、慶応よりも高いのは意外でした。

また、慶応のサイトには入学金の項目が見当たらず、早稲田の入学金も実質は1年間の学費に含まれています。学費と入学金を、分ける/分けないは東京と関西の違いなのでしょうか。

 

立命館より安い大学を探すのは難しそうなので、国立も含めた進学を念頭に貯金目標金額は200万円としておきます。現在の収入や生活状況では、あと1年半でようやく貯められるかな、というところですが、少しでも早く進学するためには、さらに節約するか仕事を増やすしかなさそうです……。

個人的な研究について会社から咎められた知人の話 ―補足と、ささやかな願望

先日、モヤモヤしたまま打ち込んだツイートに思いのほか反響がありました。

 

いくつかコメントもいただいているので、少し補足して返事に代えたいと思います。

 

仕事で私と付き合いのあるKさんは、ある企業に勤めながら個人的に研究活動を続けています。研究分野は人文系ですが、私の専門分野とは異なっています。「隣接」くらいの分野でしょうか。

Kさんは、この数年間、民間助成に応募し続けていましたが結果は芳しくありませんでした。しかし、今年、ある助成を得ることができ、業務外の時間(帰宅後や休日)に研究を進めています。Kさんの研究テーマはかなり目の付けどころがよく、着手したスタートラインの時点でかなり有利な位置に立っているように見えます。これまで研究テーマの選択で失敗してきた私にとっては嫉妬せざるを得ない現況です。だからこそ助成を得ることもできたのでしょう。

ところがKさんは、その助成の情報を仕入れた(ネットで公開されています)役員に研究の件で咎めらました。「別のところからお金をもらって高尚な「趣味」に時間を費やす余裕があるのか」と。ここが重要なのですが、彼女は会社の服務規程には違反していません。役員も何らかの違反を指摘している訳ではありません。

では、なぜ咎められたのでしょう?

その点が、Kさんも、彼女とやり取りした私も分からないのです。無理やり理由を推測できなくもないですが、誰もが納得できるものではないと思います。

(私が推測するには、「どこかからお金を取ってくるような能力があるのなら個人的な研究ではなく、会社のために使え。それが会社の拘束時間以外であっても」といった理由でしょうか)

少なくとも社員の勤務時間外の行動(社会通念上問題ない範囲であれば)を、会社が制限するのはいかがなものでしょう。Kさんが勤務するのは、一般的には著名ではないかもしれませんが、東京に本社を置く比較的大きな企業です。それほどの企業であるにも関わらず。

 

大学や研究機関に属していないKさんも私も、研究は仕事と離れて行うものであることは自覚しています。研究を進めようと思えば、1週間のうちの限られたプライベートの時間を充てるしかありません。研究に充てる費用は、多くない収入から割くしかないので、彼女のように助成を得てボーナスステージに突入した状態であれば、可能な限りの時間を費やして研究を進めることになります。大きな成果を挙げるこのうえない機会を逃す訳にはいかないのです。

「趣味」や「遊び」などと言われても構わないので、在野研究者*1の研究に寛容な世の中であって欲しいと願います。

*1:荒木優太2016『これからのエリック・ホッファーのために 在野研究者の生と心得』

子ども版ライフハック本。自分が子どもの頃に読みたかった。『時間の使い方』(旺文社)

今週のお題「プレゼントしたい本」というか、最近子どもにプレゼントした本です。その本とは、春から結構話題になっている「学校では教えてくれない大切なこと」シリーズの『時間の使い方』。

 

高学年になった子どもは、帰宅時間も遅くなり、平日に家で過ごす時間は少なくなっています。一緒に住んでいないので細かなことまでは分かりませんが、好きな本もなかなか読めず、宿題をこなすのにも苦労しているように見受けらます。

 

家での過ごし方について何かアドバイスをしてやりたい、と思っていたところ、以前、書店で手に取って私自信が興味を惹かれた『時間の使い方』を思い出しました。

本書には、「現状での時間の使い方を書き出してみる」「一日のスケジュールを書いてみる」「優先順位の高いものから手をつける」「頭が働く時間帯」といったことがマンガで述べてあります。大人でいうところのライフハック系の内容です。

また、現在の小学生(確か6年生)の時間の使い方平均、といったデータも掲載されていて、見えない誰かと比較できるようになっています。(1日の平均読書時間が5分か6分だったのには驚きましたが……)

私が子どもの頃にこんな本を読みたかったです。時間の使い方なんて誰も教えてくれませんでした。

 

本書を手渡された子どもは笑いながら読み進めていました。ギャグ系のマンガというのが小学生にはちょうどいいようです。読み終えると、子どもは指を折りながら自分の時間の使い方を確認していました。

そして私は時間の有限性を踏まえたうえで、子どもの頃に費やした時間と内容が大人の土台を作ると説きました。子どもには私のような失敗や後悔をして欲しくないという親心からです。100分の1も伝わっていないと思いますが……。

発表は予想以上に好評だったが……

昨日、とある研究会で発表を終えて、軽い脱力感のまま今日一日を過ごしました。

その発表とは、自分が長年向き合ってきたテーマ(テーマC)。ただし、行き詰まりを感じているため、このテーマからはもう離れるつもりです。が、今回の発表のレジュメをまとめる過程で意外とおもしろい視点が見えてきたのでした。そんなことを1か月前のエントリに書きました。

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そして臨んだ昨日。与えられた45分をフルに使って発表しました。盛り込みすぎて早口になってしまったのは反省ですが、満足のいく発表になったと思います。

 

夕方、研究会が終わってから参加者で軽く夕食を採ることに。その場で様々な方から、「同じような視点の研究はなく、おもしろい」「きちんとした論文にしてはどうか」などと予想以上に高評価のコメントをいただきました。これほど受けがいいのも初めてなので照れてしまいます……。

とはいえ、今回の発表(研究)はともかく、さらに先にまでは展開しないだろうと思っています。なので論文の形にまでするつもりはなかったのですが、一方で自分のこれまでの研究の区切りとして論文を書いてもいいのかな、と迷いも出てきています。他人に言われて気持ちが揺らいでしまうのも情けないですが。

 

時間と相談でしょうか。

あっさりタルタルソースと野菜たっぷりのランチ - Le Tablier(ル・タブリエ 高知市)

ランチを食べるために目的の店に向かって歩いていました。途中で黒い看板と奥にのぞく階段が気になったものの、素通りして目的地にむかってしばらく進んでいましたが、どうしても気になって引き返してきました。

階段横に掲げてあったメニューに「タルタルソース」の文字を見つけて階段を昇ることに。タルタルソース、大好物なのです。

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 Le Tablier(ル・タブリエ)は2階にあります。窓が大きく店内は明るい光でいっぱいです。

すでに予約である程度埋まっていたようですが、1人は入ることができました。後で高知の方にうかがうと、ランチタイムは女性の予約で埋まっている率が高いとのこと。よかったです。

 

窓際の席に座って日替わりのランチ(750円)を注文。窓の外には高知城の堀と緑が見えます。

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この日のランチは、メインが白身魚のフライ。その周りには多めの野菜が配されています。

白身魚は厚く、身がしまっていて濃い味。冷凍ではありません。タルタルソースは刻んだきゅうりが入っていて(めすらしい)さっぱりとしています。夏向けバージョンでしょうか。いくらでも食べられる気がします。

オムレツは具だくさん、にんじん(しりしり?)にはツナが混ぜてあり、スープも野菜たっぷりです。見た目以上に多くの食材が使われているのです。

おいしいだけでなく、これだけの栄養も採れて750円とは。

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偶然入ったにも関わらず大満足。おかげで、午後からの仕事のパフォーマンスは劇的に向上しました。

日替わりは平日のみ、土曜日はオムライスなどが食べられるとのこと。

 

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Facebookページ(おいしそうな日替わりランチが並びます) 

 

入りやすく過ごしやすい悪魔の純喫茶でモーニング - メフィストフェレス(高知市)

初めて見ると誰もが足を止めてしまう外観。店名はメフィストフェレス。悪魔です。 

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サイトによれば創業は1964年とのこと。経営している現代企業社は、高知で18店舗の飲食店を手がけていて地元ではよく知られています。

 

店内はかなり広く、1席もゆったり取られています。暗めの照明で、卓上の小さなライトが手元を明るく照らしてくれます。純喫茶のいいところだけを残したような雰囲気。

 

実は高知はモーニングが盛んな土地。モーニングと言いながらも午後の遅い時間までというのも珍しくありません。それだけ根付いているのでしょう。

 

今回も注文したのはカジュアルモーニング(460円)。厚切りトーストにサラダ、ゆで卵、コーヒーです。サラダの野菜はみずみずしく、若干甘みのある生地のトーストにはまんべんなくバターが塗られており、そしてなにより温かいゆで卵が個人的には高評価です。

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食後にはお茶まで付いてきます。

 

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店内には常連とおぼしき年配の方が多く、みなさんゆっくり新聞や本読んだり会話を楽しんだりしています。パソコン開いている人は一人もいません。

とはいえ、常連でなくても入りやすく過ごしやすいのがメフィストフェレス。誰でも入りやすい老舗の純喫茶というのは意外に少ないように思います。50年以上続いているのには、そんな雰囲気づくりもあるのかもしれません。

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