40代社会人大学院生、博士を目指す。

岡山を拠点とする年齢的にも経済的にも余裕のない社会人が、少しでも研究実績を積み上げようとあがいています。

川のまち・広島で丹下健三の企図を確認し、キング軒の汁なし担々麺を食べる

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ほぼ15年ぶりに広島を訪れた。 昨年読んだ『「戦跡」の戦後史』で書いてあることを自分の目と足で確認したかったからである。それは、戦後しばらく経つと原爆ドームは取り壊しの対象であったが、その後保存されることになった、というもの。

なかでも、原爆ドームに特別な意味を見出した、建築家・丹下健三の果たした役割は大きいとされる。丹下は、広島平和記念資料館から原爆ドームまでを一直線でつなぐ設計を行ったのである。

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平和記念資料館の本館は改修中で中に入れなかったが、建物の中心に立つと正面には慰霊碑が見え、慰霊碑からは原爆ドームが見通せる。

慰霊碑から原爆ドームまでの間は、都市公園らしく遊歩道や広場、木々が点在するが、慰霊碑と原爆ドームの間に障壁がないように維持されてるのは、丹下の意図が今でも生きているということだろう。

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市街地は太田川とその支流がいくつも流下している。いずれも水量が豊富で広島が河口に築かれたまちであることが今になって改めて理解できた。

平和記念公園の東側の川沿いを歩いていると、オレンジを並べているオープンカフェを見つけた。中では観光客らしき外国人グループがドリンク片手に談笑している。川沿いでこうした店舗が可能なのだろうか、と思いながらiPhoneで検索すると、どうやら規制緩和で実施されているらしい。

広島市 - 「水の都ひろしま」水辺のオープンカフェ

http://www.rfc.or.jp/rp/files/18-25.pdf

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オープンカフェのすぐ南側には、宮島行き(!)の船の乗船場があった。これ以外にも川を遊覧する船が行き交っている。

そもそも川沿いに高い柵のある箇所が少なく、広島は川に親しみやすいまちという印象があった。それに加えてのオープンカフェやリバーボートである。広島はすっかり川とともにあるまちになっていた。

まちの成り立ちに由来する特性を活かしている今のあり方は、素直にいいな、と思う。広島を訪れたなら川を堪能すべきだ。

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広島といえば汁なし担々麺(広島出身の同僚談)という訳で、川沿い散策の後はキング軒で昼食をとることに。初めてである。

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説明どおり細麺を30回程度混ぜる。広く深い丼が混ぜやすい。

口に含むと花椒の強い香りが鼻に抜ける。これはありそうでない味。クセになりそう。 最後に投入したライスは、もちろん合う。

www.kingken.jp 

関連ランキング:汁なし担々麺 | 中電前駅市役所前駅袋町駅

広島だけではなく、東京にも店舗(芝公園銀座)があるとのこと。

強烈な刺激を受けるインスタレーション「志賀理江子 ブラインドデート」@丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

梅雨はまだ明けず、しかし予報と違って晴れ間が少しのぞいていた朝、思い立って展覧会を観に行くことにした。 香川にある丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)で開催中の「志賀理江子 ブラインドデート」である。

 

駅ほぼ直結、谷口吉生設計の美術館

岡山から電車で約1時間、JR丸亀駅に降り立つとすぐ目の前に美術館はある。現代美術館が駅直結(ほぼ)の地方都市なんてそうそうないだろう。

美術館の設計は谷口吉生。直線の美しさを随所で感じることができる。

建築について|美術館について|MIMOCA 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

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強烈な刺激を受けるインスタレーション

さて、「志賀理江子 ブラインドデート」である。

受付で一般950円のチケットを購入して3階の会場へ。白い布をくぐると暗い室内でのインスタレーションが。ネタバレになるので詳細は書かないが、次々と視覚や聴覚に訴えかけられる展示である。サイトやフライヤー(フライヤーは公立館とは思えないスタイル)に掲載されている写真からの想像を軽々と超えている。

さらに、暗い部屋を出た白く明るい小さなスペースには壁にびっしりとテキストが書かれている。「亡霊」(だったかな?)では子どもや写真を通して「イメージ」を問い、「現実」では理想の傍らで日々の生活を重視する人たちを取り上げ、「歌」では戦争体験者にとっての軍歌から物事の多面的な見方を示唆する。

インスタレーションのメインは写真を中心とした暗い部屋であるのは間違いないが、私はこの明るいスペースでの展示がより心に突き刺さった。手元に置いて何度も読み返したいテキストなのである。もちろん、撮影はできないので今は記憶で書いているが、書いているうちに記憶があやふやなところもわかってきたので、これを読みたいがためにもう一度丸亀に足を運ぶつもりだ。しっかりと記憶するために。

 

今回の展覧会は巡回する予定はなく、MIMOCAだけで開催とのこと。

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写真を通して自身と社会が交差する接点に生じる「イメージ」の探求を続ける志賀理江子(1980-)。本展では、2009年にバンコクの恋人たちを撮影したシリーズ「ブラインドデート」を始まりとして、「弔い」「人間の始まり」「大きな資本」「死」などをめぐる考察と物語が綴られていきます。出品作品は、写真プリントの他に約20台のスライドプロジェクターによってインスタレーションを構成。会場に置かれたプロジェクターの点滅は、生、暗闇と光、この世界に相反しながら同時に存在するものごとの隠喩でもあります。私たちの肉眼で見えぬものは何か。その領域をこそ写し出す写真というメディアに懸ける志賀は、出来うる限りの正直さで社会をまなざしながら、人間の生から離れない写真の空間を立ち上げます。

 

会期:2017年6月10日(土)-9月3日(日) *会期中無休

開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)

観覧料:一般950円

*8月19日(土)、20日(日)は観覧無料

志賀理江子 ブラインドデート|企画展|MIMOCA 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

 

併設カフェで食べるたっぷり野菜のライスグラタン

見終えると13:00を過ぎて空腹だったので美術館併設のカフェMIMOCAをのぞいてみた。やや高めの値段に躊躇し、その直後、いつも値段を見て入るのを止めていることを思い出した。これではいつまでも入ることはないし丸亀まで来てそれももったいない、と今回は値段を考慮せずに入店することにした。

結論から言えば入ってよかった。雰囲気がとてもいい。この空間で過ごすことには意味がある。

なお、食べたのは、たっぷり野菜のライスグラタンとコーヒー(1,050円+税)。ライスの上にはチーズとともにトマト、パプリカ、オクラ、ズッキーニといった夏らしい野菜がびっしり。ライスはトマト味でさっぱり。このライスグラタン、次回も食べること間違いなし。

美術館におけるカフェとは、美術館そのものへの印象を左右する重要要素だと思う。今回、MIMOCAへの印象はもちろん上がった。これまでカフェを利用しなかったことを素直に謝りたい。

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しっかりとした味付けと食感重視の硬派なモーニング@高木珈琲(京都市 四条烏丸)

京都・四条烏丸で宿泊した翌朝、散歩しながら見つけたのは喫茶店でモーニングを食べることにした。やや古ぼけた青い軒先テントには「高木珈琲店」とある。

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店内は想像どおりクラシカルな雰囲気。男性2人が切り盛りをしている。ちなみに、期待を裏切らず喫煙可である。

この日、昼食をいつ食べられるか分からない予定のため、迷わず680円のモーニングをオーダー。

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コーヒーにトースト、ポテトサラダ、スクランブルエッグ、ソーセージと、グリーンな野菜など見あたらない硬派なラインナップ。

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弾力あるトーストには塩味の効いたバターがたっぷり。硬派である。

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しっとりしたポテトサラダはマッシュされていない大き目のポテトが混じり、食感に訴えかけてくる。硬派である。

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ソーセージは噛むとパリッとしている。ボイルしているのではなく、軽く揚げてあるようだ。硬派である。

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コーヒーはクラシカルな風味で苦味が前面に出る。硬派である。

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全体的にしっかりとした味付けと食感を重視している点が統一されているのがいい。朝から続々と入ってくる人たちで支持されていることもよく分かる。
 

烏丸通りを渡って少し東に入ると道幅が狭くなり、古い建物も残っている。朝の散歩にちょうどいい。

打ち水を至るところで見かけるのは京都ならではか。

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中華粥と具がぎっしりの点心を、新橋でリーズナブルに@花茶坊

仕事で梅雨入りした東京に向かった先日のこと。午後からの打ち合わせを終えて、仕事仲間のAさんから夕食に「中華粥とかどう?」と誘われて二つ返事で了承した。中華粥なんてなかなか食べる機会がないため、そのワードを聞いただけでテンションが上がってしまったのである。

 

新橋の駅から7〜8分ほど南(汐留方面)に歩いたところに目的の花茶坊はあった。道を挟んで反対側にあるスープカレーの店やおでんの店にも惹かれるが、初志貫徹。

幟が立っていたり、入口付近にメニューがペタペタ貼られていたりと、大衆的な雰囲気にあふれている。

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店内はテーブル3つとカウンターだが、先客の3組はいずれも20〜30代とおぼしきカップル。店の外観からはおそよ想像のつかない客層だ。 

 

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Aさんにすすめられるまま、点心セット(800円)をオーダー。ほどなく運ばれてきたトレーには、中華粥、せいろにに入った点心、チンゲンサイ、ザーサイが載っている。 

 

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中華粥はごま油が垂らしてあるのと、多少の塩以外の味付けはされていない。テーブル上にある塩、醤油、豆板醤、酢、練がらしなどで味を調整して楽しむスタイルらしい。個人的には酢と豆板醤の組み合わせが好みだ。そして、時間の経過とともにしんなりして粥になじんでくるレタスがいいアクセントになっている。 

 

 

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焼売3種はいずれも具がぎっしり入っていて食べ応えがある。それぞれ、海鮮(黃)、野菜(緑)、肉(白)。えび餃子?ワンタン?(写真右端)はエビのみを包んだシンプルなものだが、逆にエビの味が際立つ。

点心の味付けも想像するよりもあっさり目。必要であれば、醤油や酢で、ということだろう。私はそのままでちょうどいいくらいだった。

 

写真では分かりにくいが中華粥の丼は深さがあり、ある程度は水分が占めるとはいえ結構なボリュームなうえ、点心も具だくさんである。中華粥だと高を括っていたが翌朝まで空腹を感じることはなかった。この味と量で800円はお得。

周りのカップルは点心や中華粥を単品でいくつか注文し、アルコールとともにシェアしながら食べていた。夜はこうした使い方をされる店なのだろう。

他のメニューも期待できるので、これは再訪したい。

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下北沢はやっぱりカレーの街だった@路地裏カリィ侍.

下北沢で打ち合わせがあったその日の夕食はカレーと決めていた。先日、下北沢のポニピリカで食べたスープカレーに心(舌?)を打たれて、それ以来、私の中では下北沢=カレーの街になってしまったのである。

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ポニピリカで食べたカレーでどれだけ満たされたかを友人に語っていると「こっちもどう?」と紹介してもらったのが路地裏カリィ侍.である。

平日21:00前に訪れても店内は満席でしばらく待つことになったが、早い時間だと並ぶ必要があったかもしれない。遅く来てよかった。

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メニューにあるオススメは「チキンと一日分の野菜20品目」だが、20品目も食べられそうにないため、野菜13品目の「チキンと野菜」をオーダー。

待つ間に他の人の注文に耳をそばだて、壁に掲げられた黒板の文字を読み、なんとなくメニューのシステムを理解する。「侍.まつり」という3〜4品目を自由に組み合わせてトッピングできるメニューを頼むのが基本のようだ。

 

そうこうしているうちに到着したボウルとプレート。

まず、スープカレーなのに高さのある盛り付けに目を引かれる。チキンはモモ1つ、野菜はぎっしり。これは写真を撮りたくなるビジュアルだ。

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トマトの酸味があるスープはかなり好みの味。ブロッコリーや人参の茹で具合も絶妙。チキンとともに高さを演出している素揚げ(薄い衣があったかも)のごぼうは、甘めにしっかり味付けされている。このごぼうがいい。ごぼうだけ追加トッピングしたいくらいだ。(次回は必ずそうする)

夜まで打ち合わせが続いてかなり空腹だったはずなのに、180gの標準量のライスを食べきるのに苦労した。それだけ野菜たっぷりということだろう。歯応えもあるし。

 

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カレーのおいしい街は、いい。

 

路地裏カリィ侍.下北沢店 | 札幌路地裏スープカリィ侍.| SAMURAI

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7世紀の永納山城を歩き、『夕凪の街 桜の国』を読み、くらしとごはんリクルで肉厚愛媛鯛のランチ@愛媛県西条市

7世紀に築かれた永納山城を歩く

愛媛に行く機会があったので、かねてから訪れたかった永納山城を歩いてきた。

7世紀、対馬から九州北部、瀬戸内海沿岸には朝鮮半島の技術を用いた山城(古代山城)が30基近く築かれた。築城目的は新羅・唐の侵攻への備えとされている。永納山城はそのうちのひとつである。

 

山の中腹に世田薬師という寺院があり、その近くから登山道が伸びている。新緑の木々がつくり出す影をくぐりながら山道を歩くのは気持ちいい。首筋ににじむ汗も、柔らかな風で落ちる前に乾いてしまう。この季節ならでは。

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永納山城は、山の一部を巡る城壁が確認されたことで古代山城とされた。つまり、城としての人工的な構造物を認識できるのは城壁のみということになる。

ブルーシートのかかっている箇所がその城壁にあたる。調査中なのだろうか。

城壁は尾根と尾根の間に石を積み、土を盛り上げる構造のようだ。城壁に囲まれた内側は一段下がって広場のようになっている。

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山頂が近づくと幟が見えてくる。「城(戦国期?)」のイメージだろうか。初めて登山する人間にとっては目標として分かりやすい。

山頂からは西方に瀬戸内海を見渡すことができる。奥に見えるのは香川県

冒頭の登り口から山頂までは20分ほど。軽いハイキング程度だ。

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古い遺跡の整備にこそデザイン的な視点の導入を 

永納山は風化した花崗岩のため、足元の一部は滑りやすくなっており現状では登山者を選ぶ。しかし、登山者に配慮して舗装などしてしまうのは筋違いだろう。現状が7世紀の景観と異なるとはいえ、近代的な構造物が目立ってしまえば訪れた人は興醒めしてしまうし、写真映えもしない。登山ではなく、過去の城の見学を目的とするため訪れる人は過度な整備を望まないはずだ。

サインも含めて、登山者の安全を考慮しながらどう整備するかは難しい課題だが、こうしたケースにこそデザイン的な視点が導入されるべきだろう。

 

 

くらしとごはんリクルで『夕凪の街 桜の国』を読み切る

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永納山を降りた後、空腹に我慢ができなくなって車を走らせた先は、くらしとごはんリクル。

南に設けられた大きな窓からは西日本で一番高い石鎚山(1982m)が正面に見える。

ランチは肉、魚、豆腐から選択可能。迷わず魚をオーダーする。

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料理を待つ間に本棚に向かうと、まず『この世界の片隅に』3巻に目が留まり、直後に『夕凪の街 桜の国』に気づいた。『この世界の片隅に』の作者、こうの史代氏による戦後の広島を描いた作品である。

数ページめくるとすぐに没入してしまい、ランチが到着した時には半分に到達していた。残りは食後に読み切り、さらにもう一度読んでしまった。

夕凪の街」は終戦まもない時期の広島を舞台とし、「桜の国」は現代(現在より少し前か)を描く物語で両者は深く関連する。原爆投下の場面は登場しないが、原爆の影響が現代にまで続くことを意識させる巧みな構成となっている。全体を読み終えるまでさほど時間はかからないが、おそらく誰でも一度は読み返してしまうだろう。

映画版この世界の片隅に』にのめり込んだ人は(私がそうだが)、『夕凪の街 桜の国』もぜひ手に取って欲しい。

 

肉厚の愛媛鯛、ダシの効いた味噌汁で満たされる

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夕凪の街 桜の国』を読んでいるうちに到着した料理。

まず肉厚の愛媛鯛に見た目で驚く。その厚さは箸を入れた指を通して、さらに運んだ口を通して実感される。白味噌ソースで味付けされたこの愛媛鯛だけでも、この日リクルに来た甲斐があった。

左手前の食前酒(といっても苺のコンポートに炭酸を足したもの)や、鮮やかな野菜のきんぴら(?)、自家製ドレッシングなどももちろんいい。麦味噌(愛媛ではオーソドックス)の味噌汁はダシが効いていて、こちらもかなり好み。

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 くらしとごはんリクル FBページ

 

この日の数時間で、ゴールデンウィークらしいことをすべて叶えられた気がする。

温泉宿で論文を書くと捗るのか?@ホテル松葉川温泉(高知県四万十町)

温泉宿に滞在して論文の原稿を書くと捗るのか?

1泊した結果は次のとおり。

・思うほどは書けない (2,000字/3時間)

・意外と作業できる時間はない (5時間)

・思考に集中することはできる

 

四万十川の源流に近い松葉川温泉

以下、しばらく旅行記。

午前中は高知城歴史博物館を見学し、昼食と買い物を済ませて高知市を離れる。

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 高知市から車で1時間ほど高速道路を走って西に向かい、道の駅あぐり窪川で休憩を取る。

目的は豚串。この地域でブランド化された「米豚」を甘辛く味付けして焼いたものだ。網の上で焼く香りに引き寄せられる人は多いはず。1本350円。

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豚串でささやかな欲求を満たした後、四万十川沿いの道を上流に向かって進み、川が二股に別れる地点で日野地川という川に切り替えてさらに遡る。あぐり窪川から30分ほどで到着したのは、川沿いにぽつんと建つホテル松葉川温泉だ。この日の宿泊地である。ホテルのサイトの紹介文にあるように周りに店舗などは一切ない。あるのは渓流と森と空。

15:00にチェックインをして8畳の和室に入って荷物を置く。着替えや洗面道具のほかに持ち込んだのはノートパソコンと数冊の本と大量の文献コピー。1か所しかないコンセントに合わせて机と椅子を移動させ、パソコンを設置する。

部屋の窓からは渓流に架かる赤い橋が見える。 

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旅館といえば茶菓子。普段はゲストハウスかビジネスホテルにしか泊まらないため新鮮だ。こちらの茶菓子は生姜せんべいだった。

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せっかくの温泉宿なので、まずは温泉に浸かる。露天風呂は渓流に面しており、川面からの高さもあって開放感は抜群。

(温泉の撮影はできないのでこちらのサイトを参考に 温泉 | ホテル松葉川温泉

松葉川温泉の湯は透明で少しとろっとしている。そして湯に浸かった後しばらくは肌が滑らかになる。どれくらい滑らかになるかといえば、いつもの調子で軽く手にしたiPhoneが滑り落ちるくらい。

この泉質と開放感が好きで、松葉川温泉には日帰り入浴で何度も訪れている(宿泊は初めて)。

 

湯を出てから周辺を散策。部屋から見えていた赤い吊橋を渡って対岸の森へ。森の中には散策できる道が整えられていて、河原に降りることもできる。

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部屋に戻って夕食までの1時間は、急遽舞い込んだ校正作業に費やす。 夕食は一番安いプランだが、普段の食事を考えると十分贅沢。 やはり豚肉がおいしい。

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デザートは苺のアイス。

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夕食後、期限が迫った確定申告の仕上げに1時間かけて、ようやく論文の原稿に取りかかる。1時間程度。

原稿を22:00で切り上げ、再度入浴してから23:00に就寝。

 

翌朝は6:00に起床して7:00まで原稿執筆。

三度、温泉に入ってから朝食を取る。骨まで柔らかくなったアメゴ(アマゴ)は頭から尾まで食べられる。

朝食後、チェックアウトまでの1時間でキーボードを叩く。

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集中して自分の思考に入り込めた

という訳で、1泊しての作業時間は5時間、そのうち原稿執筆に充てられたのは3時間だった。どうしても温泉に数回入ったり、食事に時間をかけたりするので思ったより時間を取れなかった。入浴回数を減らせば、もう1時間くらいは捻出できそうだ。

 

小刻みの3時間で書けたのは2,000字。すでに書いていた文章の切り貼りもあるので、一から書いた文章は1,500字程度だろう。私の執筆スピードは早いうちには入らないが、それでももう少し書きたかったのが本音だ。

 

文章量が稼げなかった代わりに得られた最大の成果は、考えを納得のいくかたちでまとめることができた点だ。普段より集中して自分の思考のなかに入り込めた状態だったことは間違いない。

家にいると家事を気にせざるを得ないし、カフェや図書館だと机の専有時間に配慮する必要もある。こうした心配事を意識の外に追いやることができたのだと思う。湯に体を沈めていても頭は研究モードになっていたし。

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罪悪感を感じなかった2日間

多少は成果もあったので、温泉宿での論文執筆には再度挑戦したい。立地や泉質が気に入っているので、また松葉川温泉になるかもしれないが。

なお、いい温泉とおいしい食事で過ごした2日間、少しでも研究を進められたせいか罪悪感を感じなかったことも強調しておきたい。